海外コメンタリー

エッジコンピューティング導入前に押さえておきたいこと

Nick Heath (ZDNet UK) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2018-10-25 06:45

 日々の業務の改善を目指し、自社ネットワークのエッジ部分でデータを収集/分析する企業が増えている。

 その目的がエレベータ飛行機の予測メンテナンスであるか、油田掘削施設の円滑な稼働に向けて収集したデータの分析であるかにかかわらず、企業は消費電力の小さなエッジデバイスを用いて膨大な量のデータを収集している。

 こうしたデータはたいていの場合、分析処理のために、一元化されたデータセンターに送信されるが、エッジで収集されるデータの量が増大するにしたがって、収集される場所に近いところでデータの分析や取捨選択を行う必要性も増してきている。

 しかし、ネットワークのエッジ部分にデバイスを配備することで、企業は新たな課題に直面する可能性もある。

エッジコンピューティングを導入した方がよい理由とは

 Gartnerのインフラ戦略グループにおけるリサーチバイスプレジデント兼アジェンダマネージャーであるBob Gill氏によると、データの処理やアナリティクスを自社ネットワークのエッジ部分で行うようにする理由は、帯域幅の枯渇や接続性の制約といった問題の解決にとどまらないという。

 同氏は、デバイスがデータに基づいてリアルタイムで、あるいはほぼリアルタイムで処理を実行する必要があり、クラウドへの該当データの移送時間が問題となるような場合、エッジコンピューティングを検討すべきだと指摘している。

 同氏は「都会の交差点に設置されている信号機群を考えてみてほしい。この場合、エッジコンピューティングによって例えば、これら信号機群に知性を導入すれば、中央に設置されたシステムとやり取りせずとも互いに通信できるようになる」と述べ、例としてSWIM.AIという企業が取り組んでいるエッジアナリティクスについて言及している。

 とは言うものの、データ収集用のエッジデバイスでアナリティクスも実行するのが最善の選択になるとは限らない。Forrester Researchで最高情報責任者(CIO)を支援する立場にあるバイスプレジデントのJames Staten氏によると、エッジの近くに配置されているシステムに分析を任せ、エッジデバイスの負荷を低減する必要がある場合もしばしばだという。

 同氏は「エッジでの分析は、エッジに配備されているデバイス自体で行えば十分だと考えている企業は多いが、多くの場合はそれでは及第点に届かない」と述べたうえで、「例を挙げると、現在の自動車はさまざまなセンサを搭載して運転者を支援しているが、未来の自動運転車はその自動車以外からのさまざまなデータも集積しなければならない」と続けている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]