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骨伝導を活用したウェアラブル端末を開発する青森発ITベンチャー

田中克己

2018-10-22 10:30

 骨伝導ウェアラブル端末を開発するフォルテは、観光案内サービスなどからヘルスケア、多言語翻訳へと骨伝導の応用分野を広げている。ユーザーインターフェースを突き詰めていく中で生まれた骨伝導の活用で、社員約20人の青森発ITベンチャーが新しいIoT市場の創出に取り組んでいる。

自転車用ナビガイドの活用からスタート

 NTTに約22年勤務した葛西純 代表取締役がフォルテを創業したのは、2005年のこと。事業立ち上げのきっかけは、モバイル端末を活用した情報提供の実証実験に加わったことだった。スマートフォンが発売される以前に、SNSなどから消費者一人ひとりの趣味・好みに合った情報をプッシュする「フェイスブックのようなもの」(葛西氏)だった。ただし、使いやすいものではなかったという。

 実証実験は、葛西氏の故郷である青森県のショッピングモールや商店街でも実施された。青森市がコンパクトシティー構想を打ち出した折にも、情報提供に活用されたという。だが、こうした実証実験の成果を実装し、社会的な価値を生み出すには数年かかる。そこで、その受け皿となるNPO法人に参画する。さらに、「自分で判断し、計画を行動に移すには起業するしかない」との思いを強めた葛西氏は、フォルテの設立に至った。

 最初のコンテンツは、約7年前に開始した自転車用の観光案内サービス「ナビチャリ」だ。GPS付き電動自転車に乗りながら、頭に付けた骨伝導スピーカーに現在の場所の観光情報を提供したり、目的地に誘導したりする。開発に取り組んだ約10年前、電動アシスト自転車が売れ始めたころで、「自動車のようなナビガイドがあったら」と、葛西氏が思いついた。とはいっても、走りながらスマホの画面を見ながら操作するのは難しい。普通のイヤフォンで観光案内を聞く手もあるが、耳をふさぐとバランス感覚が悪くなる。

 そこで着目したのが、声の振動を頭蓋骨に伝える骨伝導だった。「頭の骨は鼓膜のように経年変化をしないし、難聴者にも聞こえる。車など周辺の音も聞きとれる」と葛西氏。そんなヘッドセット型の骨伝導スピーカーを開発したが、最初の商品は売れなかった。「次の交差点を右に曲がる」などと、音声が急に聞こえると驚くので、その前にハンドルをブルブルと振動させたりする仕組みにした。つまり、これらに必要なデバイスやGPSなどを装備した電動自転車にしたのだ。価格も約25万円と高額になる。

 そんな電動自転車を展示会に出展すると、「いいね」と言ってくれるが、誰も購入してくれない。出資者を集めるのは容易な時代でもなかったので、葛西氏は預金を崩しながら市場開拓に取り組むが、50台作った自転車はほとんど売れ残ったという。技術的にユニークなコンセプト商品と思われてしまったのだ。

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