2019年最初の「一言もの申す」連載に当たり、ビジネス視点から見たIT活用における「2019年のキーワード」を3つ挙げ、その理由を述べたい。
企業にとってデジタル変革は「ビジネス変革」そのもの
2019年の3つのキーワードとは、「デジタル変革」「シェア経済」「人工知能(AI)」である。いずれも新味がない言葉だと思われるかもしれないが、改めてキーワードに挙げた理由をぜひ聞いていただきたい。こだわったのは“ビジネス視点”である。
まず1つ目は、デジタル変革(デジタルトランスフォーメーション)。この言葉を挙げた理由として改めて問いかけたいのは、「なぜ、企業にとってデジタル変革が必要なのか」だ。自戒を込めて、デジタル変革をテーマにした記事は山ほどあるけれど、その必要性が企業に本当に浸透しているのか。日頃の取材を通じてそう感じていたので、キーワードの1つに挙げた。
「企業にとって」とは、「ビジネス視点で」ということだ。で、なぜ必要なのか。結論から言うと、デジタル変革はすなわち「ビジネス変革」だからだ。どういうことか。
今や、あらゆる産業分野でデジタル変革が進展しつつある。従来なかったデジタル技術の活用が進むと、産業の境界が崩れたり、産業そのものに“ゲームチェンジ”が起こる。これが“ディスラプション(創造的破壊)”という動きだ。こうした大きな流れを認識すれば、全ての企業にとって、デジタル変革を推進することが生き抜くための重要課題だというのが分かる。
そのデジタル変革に今、求められているのは、単なるツールとしてのIT活用ではない。ディスラプションに対応するため、デジタル技術を活用して価値を創造できるように、ビジネスモデルやビジネスプロセスを戦略的に転換することである。だからこそ、企業にとってデジタル変革はビジネス変革そのものなのである。