KDDIとエコモットは1月15日、法人向けIoT分野における協業強化の一環として資本業務提携すると発表した。KDDIはエコモットが発行する株式の一部(議決権比率の21.1%)を取得し、持分法適用関連会社化している。
業務提携では、「『KDDI IoTクラウド standard』の強化」「センサ端末ラインアップや新技術の共同開発」「新規IoTパッケージ商品の共同開発および拡販」「両社の知見、技術を活用した地域産業の高度化(地方創生)」「両社の『強み』とするノウハウの相互流通、および人材交流」が挙げられている。
資本提携を発表したKDDI ビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏(左)とエコモット 代表取締役の入澤拓也氏
概要を説明したKDDI ビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏は、「IoT関連ソリューションを提供する企業は多数あるが、大半はクラウドサービスやデータ分析の分野で、センサなどの実際にデータを集める部分に強い企業は少ない」と指摘し、センサ分野で強みを持つエコモットとの協業体制を深めることでセンサから分析までの全ての領域をワンストップで提供でき、協業他社との差別化が可能になるとした。
なお、両社の協力関係は以前から確立されており、例えば2016年4月からKDDIが提供している「KDDI IoTクラウド Standard」では、エコモットが開発したIoTデータコレクトプラットフォーム「FASTIO」をベースシステムとして採用しているなど、各分野で協業が既に行われている。今回の資本提携は新規の協力関係の確立ではなく、両社の協業関係をより一層深化させる狙いとみられる。
なお、エコモットは札幌市に本社をおくIoTインテグレーション企業で、設立は2007年。創業事業は札幌市内の駐車場などを対象としたロードヒーティングの効率化のため、現場に設置したビデオカメラの映像を遠隔監視し、実際に積雪が確認できた場合にボイラーを稼働させるシステムの開発だという。このとき通信インフラが未整備の場所にあることも多い駐車場との通信経路としてKDDIのモバイルネットワークを活用したことから両社の関係が始まっているという。
資本提携の概要
同社代表取締役の入澤拓也氏は「KDDIは通信モジュールからネットワーク、クラウドまでを全て提供している点が他キャリアにはない特徴で、セキュリティ面でも法人向けIoTとしてベストな選択だと考えている」と協業の意義を語った。