本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、ニュータニックス・ジャパンの町田栄作 コーポレートマネージングディレクター兼社長と、SAPジャパンの内田士郎 代表取締役会長の発言を紹介する。
「HCIでレガシーシステムのモダナイゼーションを推進したい」
(ニュータニックス・ジャパン 町田栄作 コーポレートマネージングディレクター兼社長)
ニュータニックス・ジャパンの町田栄作 コーポレートマネージングディレクター兼社長
ハイパーコンバージドインフラ(HCI)市場を切り開いてきた米Nutanixの日本法人であるニュータニックス・ジャパンとTISインテックグループのTISが先頃、メインフレームなどの企業のレガシー化したシステムを刷新する支援サービスの提供に向けて協業することを発表した。町田氏の冒頭の発言はその発表会見で、両社の協業に向けた意気込みを語ったものである。
両社の発表によると、今日の企業のITシステムに求められるのは、オンプレミスとパブリッククラウド、プライベートクラウドの間でシームレスな環境を実現する真のハイブリッドクラウドおよびマルチクラウド環境だと指摘。それに対し、両社はデータセンターやクラウドなどを意識することなく、顧客企業のビジネスの変化に素早く対応できる柔軟なシステム環境の構築を支援するとしている。
これにより、顧客企業はビジネスに合わせてさまざまなクラウドサービスを活用できるデジタル変革を推進するためのシステム基盤を構築し、レガシーシステムの課題を解消することで維持管理費を抑え、戦略的なIT投資に資金と人材を割り当て、デジタル変革を推進することが可能になるという。
両社の協業では、TISがメインフレームなどのレガシー化した既存システムからの脱却を、ニュータニックス・ジャパンが脱却後のプラットフォームを提供し、企業のデジタル変革の実現に向けた支援を行うとしている。
両社の協業内容の詳細については、関連記事をご覧いただきたい。また、ニュータニックス・ジャパンの事業戦略については、筆者が町田氏にインタビューした2018年7月27日掲載の記事「“リプラットフォーム”を説くニュータニックスのエンタープライズクラウド戦略」を参照していただきたい。
ここでは、町田氏が今回の会見での説明の中で、「プラットフォームの変革の歴史」と題して分かりやすい図を示していたので取り上げておきたい。これまでのITプラットフォームの変遷を10年単位で示したもので、大きく4回の変化を遂げてきたことを表している。1970年代後半からこの業界を見てきた筆者などは、思わず見入ってしまう図である。
図:プラットフォームの変革の歴史(出典:ニュータニックス・ジャパンの資料)
町田氏がこの図を示して強調したのは、最新の多様な環境を利用するのに最適なのは、NutanixのHCI向け基盤ソフト「Enterprise Cloud OS」であるということだ。果たして、今後どれだけ利用が広がっていくか。注目しておきたい。