最近のMicrosoftにとって、オープンソースはなじみ深いものになりつつある。自社技術のオープンソース化や、オープンソース企業の買収を行っているからだ。しかし、同社の次なるオープンソースの取り組みには、驚く人がいるかもしれない。Microsoftは、オープンソースの開発手法を正式に社内に導入すべく、「インナーソース」に向けた動きを見せている。
インナーソースという言葉はMicrosoftの造語ではなく、数年前から注目を集めている。インナーソースとは、オープンソースの開発手法を組織内で実践することを指す。InnerSource Commonsコミュニティには、会員として70社以上が参加している。
オープンソースの基本原則として、よりオープンなコードの共有と編集、新たなコードブランチ作成によるコード再利用の促進、プログラミングの一環として行うコードのテスト、ドキュメントの充実などがあるが、インナーソースもこうした手法をうまく活用することを目指している。インナーソースのツールや手法は、オープンソースとクローズドソースのプロジェクトや製品を開発するために利用できる。オープンソースと違うのは、必ずしも開発プロセスを一般公開するのではなく、社内のチームで共有する点だ。
Microsoftは2018年10月にGitHubを買収して以来、インナーソースによる開発を社内で行うための地ならしを着々と進めている。
Microsoftが2018年11月に掲載したプログラムマネジャーの求人情報には、「Microsoft社内のエンジニアリングチームが、GitHubを利用し、インナーソースの開発手法を導入できるように支援する人材」を求めていると書かれていた。
また、2月12日に掲載されたエンジニアリング担当シニアプログラムマネジャーの求人は、新設されたチームが「インナーソースを全社的に広めるために、ゼロから『Inner Source Initiative』を開始している」と述べている。1ES(One Engineering System)グループの一部となるそのチームは、社内にある複数のチームと連携し、Microsoftがオープンソースのツールやプロセスを活用する方法を模索していくという。
Apache Software Foundationのエグゼクティブバイスプレジデントで、MicrosoftのAzure部門担当プリンシパルプログラムマネジャーのRoss Gardler氏は、この新しいインナーソースの取り組みを統括するのは、Microsoftのクラウドおよびエンタープライズ部門でアクセシビリティ担当ディレクターを務めるGianugo Rabellino氏になるとツイートした。Rabellino氏は、Microsofのオープンソース専門子会社Microsoft Open Technologiesの立ち上げに関わった経歴の持ち主だ。
Microsoftがこの先、GitHubや「Azure DevOps」を通じて、インナーソースの利点を同社顧客に売り込んだとしても不思議はないと筆者は考えている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。