UberとLyftはほぼ同じ事業を展開しており、どちらも旅客運送業を改革することを目指しているが、技術に関するアプローチについては違っているところも多い。技術的な戦略には似ている部分もあるが、Uberのアプローチは複数の事業を展開することを視野に入れており、より幅が広い。
UberとLyftの規制当局への申請書類を比較すると、そうした技術面での違いが明確になってくる(UberとLyftはいずれも2019年に上場している)。Uberは自社を複数の事業分野(例えば「Uber Eats」や「Uber Freight」など)に拡張可能なマーケットプレイスと技術プラットフォームを構築する企業だと位置づけているのに対して、Lyftは自社を主に「サービスとしての旅客運送業」を提供するプロバイダーであると位置づけている。
Uberは、「幅広い技術分野の専門知識を有した高度なスキルを持つエンジニアとコンピューターサイエンティスト3000人超のチーム」や、自動化されたインフラを売りにしている。2018年12月末時点で、Uberの全世界の従業員は2万2263人だ。一方Lyftは、4791人の従業員のうち、製品管理、エンジニアリング、設計の部門の人員が36%を占めるとしている。
また、Uberは2018年の純利益は9億8700万ドル、売上高は112億7000万ドルだったと報告しているのに対して、Lyftは同年の純損失は9億1130万ドル、売上高は21億6000万ドルだったと報告している。
この記事では、このUberとLyftが、主な技術についてどのようなアプローチを取っているかを比較してみたい。
クラウド
Uberは典型的なハイブリッドクラウドのアプローチを取っているようだ。同社は複数のコロケーション施設と、複数のクラウドベンダーを利用している。同社は次のように述べている。
わが社は自社のインフラを高度に自動化し、速いペースでプラットフォームの改善や新機能の追加を行えるようにした。わが社が構築したプラットフォームは、例えば休日などに起こる、利用量の急増にも対応できるようになっている。現在わが社は複数のサードパーティークラウドコンピューティングサービスを利用しているほか、米国や国外にあるデータセンターのコロケーションサービスを利用している。これらのパートナーシップによって、事前のインフラ投資なしに、需要の急増に応じて素早く効率的にサービスを拡大することができるため、わが社は優れた製品の構築に力を集中することができる。