現在はAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)をビジネス要件に応じて選択するハイブリッドクラウド、もしくはマルチクラウドが一般的となりつつあるが、VMwareは「アプリケーションを数分以内に展開し、可用性やセキュリティのチェックをどこで実行しても同一でなければならない。柔軟性が最も重要」(Wolf氏)と説明。その顧客需要への回答として同社が提示したのが「VMware Cloud Foundation」である。
Cloud Foundationは、同社が提唱する、データセンター全体をソフトウェアで制御する“Software-Defined Data Center(SDDC)”の基盤。サーバー仮想化ソフトウェア「VMware vSphere」やストレージ仮想化ソフトウェア「VMware vSAN」、ネットワーク仮想化ソフトウェア「VMware NSX」などを統合。管理ツール「VMware SDDC Manager」で自動化できる。
このCloud Foundationは、パブリッククラウドでも活用できるようになっている。2017年2月には「VMware on IBM Cloud」、2018年11月に「VMware Cloud on AWS」、前述の基調講演では「Azure VMware Solutions」を発表し、そのエコシステムを徐々に拡大させてきた。Wolf氏は「プライベートクラウドやパブリッククラウド、エッジやデータセンターのオンプレミスでもソフトウェア管理や保守を自動化したクラウド体験を提供できる」とアピールした。
同社によれば、Cloud Foundationは世界120カ国以上、4200社以上のクラウドプロバイダーへ展開し、1000万以上の仮想マシンが稼働中。毎年20%の成長率を誇るという。対応プロバイダーは「VMware Cloud Provider Partners」としてGoogle Mapで確認できる。
Cloud Foundationの概要(出典:ヴイエムウェア)
VMwareはネットワークをソフトウェアで制御するプラットフォームとしてNSXを提供しているが、2017年11月に買収したVeloCloud Networksの技術で成り立つ「VMware SD-WAN by VeloCloud」がVMware Cloudを推進する上で重要な位置を占める。
Wolf氏は「現在はNSXが中心」と述べつつも、「たとえばビデオ会議中に輻輳(ふくそう)した場合も(SD-WAN by VeloCloudを使用した場合は)自動的にルーティングを変更するため、快適性に気付くだろう」(Wolf氏)と語った。現在SD-WAN by VeloCloudは、2000社以上のユーザー、2500以上のサービスプロバイダーが8万カ所のアクティブサイトで導入しているという。
SD-WAN by VeloCloudの概要(出典:ヴイエムウェア)