海外コメンタリー

IBM傘下となったレッドハットの未来--クリス・ライトCTOが語る

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2019-07-31 06:30

 多くの人々は、IBMがRed Hat買収した後、どういったことが起こるのかについての答えが出そろうのをいまだに待ち望んでいる。そんななか、Red Hatの最高技術責任者(CTO)でありLinuxのカーネル開発者でもあるChris Wright氏がRedditのAMA(Ask Me Anything:質問受け付けます)セクションに登場し、Red Hatのオープンソースと製品の方向性を堅持すると明言し、参加者らを安心させた。

 最初に出てきた質問は、Red Hatの「Kubernetes」製品である「OpenShift」の今後がどうなるかというものだった。Kubernetesは現代のハイブリッドクラウドに欠かせないものとなっている。実際のところ、IBMがRed Hatを買収した大きな理由の1つは、Red Hatの持つハイブリッドクラウドの専門的能力を手に入れるためだ。とはいえ、IBMも同社のプライベートクラウド製品向けに「IBM Cloud Kubernetes Service」というネイティブなKubernetes製品を有している。

 Wright氏は次のように述べている。

 IBMによる買収が「OpenShift/OKD」に影響を与えることはない(OKDは、OpenShift向けに用いられるKubernetesのオープンソースコミュニティーディストリビューションだ)。ここで重要な点が2つある。1つ目は、Red Hatは依然としてRed Hatであり、われわれはエンタープライズ向けの、業界で最も包括的なKubernetesプラットフォームをもたらすことに注力している点だ。2つ目は、Kubernetesにおけるアップストリームファーストの開発と、OKDのコミュニティーのエコシステムにおける開発が、われわれの製品開発プロセスの一部となっている点だ。これら2つの点に変わりはない。IBMによる買収はOpenShiftの普及を加速させるうえで力になるはずだ。

 Wright氏は、IBM独自のKubernetes製品について、直接的に言及する内容は持ち合わせていないとした。

 この点については何もコメントできない。ただ、IBMはOpenShiftが稼働している場所であれば、どこでも(オンプレミス環境や、プロバイダーをまたがるパブリッククラウド環境で)同社の製品を稼働させることに価値を見出しているという点は言える。

 また、Wright氏は次のように付け加えている。

 Red Hatは今までと同様に、ハイブリッドクラウドを実現する最善の道として自らの製品ポートフォリオに注力していく。IBMはわれわれの戦略を変えようとはしていない。われわれの戦略は、ハイブリッドクラウドを実現するためのプラットフォームと、プラットフォーム回りで必要になるツールを開発していくという、今までと変わらないものとなる。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    セキュリティに対する意識や対策状況の違いが浮き彫り--日米豪における情報セキュリティの実態を調査

  2. セキュリティ

    セキュアな業務環境を実現する新標準「Chrome Enterprise Premium」活用ガイド

  3. セキュリティ

    「脱VPN」で実現するゼロトラストセキュリティ!VPNの課題を解消し、安全なリモートアクセスを確立

  4. セキュリティ

    もはや安全ではないVPN--最新動向に見る「中小企業がランサムウェア被害に遭いやすい」理由

  5. ビジネスアプリケーション

    ITR調査レポートから紐解く、間違いだらけのDX人材育成--研修だけでは成果にならないその理由は?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]