メガクラウドの一角への食い込みを狙うOracle。日本でも先進の技術による自前のデータセンターや多彩なサービスを整備した。果たして同社に勝機はあるか。
データベースを軸としたエンタープライズグレード
「クラウド事業の展開が遅いとの声もあるが、私たちはこれまでエンタープライズグレードのサービスを作り込んできた。それをついに日本でも本格的に展開できるようになり、競合サービスへの追撃態勢も整った」――。日本オラクル 取締役 執行役社長 最高経営責任者のFrank Obermeier氏は、同社が先頃都内のホテルで開催したプライベートイベント「Modern Cloud Day Tokyo」の基調講演でこう切り出した(写真1)。
基調講演を行う日本オラクル取締役 執行役社長 最高経営責任者のFrank Obermeier氏
Obermeier氏をはじめ、米Oracleおよび日本オラクル(以下、オラクル)の幹部が同イベントで説明したクラウド事業の最新状況については、既報のレポート記事をご覧いただくとして、ここではグローバルのクラウド基盤サービス市場をリードするAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)といった「メガクラウド」の一角を狙うオラクルに勝機はあるか、について考察してみたい。
冒頭に紹介した発言でObermeier氏が語った「競合サービス」もこれら3つのメガクラウドを指しているが、現時点でOracle Cloudがこの一角に食い込むと見る向きは少ない。
ただ、Obermeier氏はイベントの基調講演後に行った記者会見で、オラクルの最大の強みであるデータベースを話題に上げ、「Oracle Databaseはこれまで、オンプレミス環境で高い信頼を得て、とりわけ日本のデータベース市場では過半数のシェアを占めて使われてきた。そうしたお客さまをクラウドへしっかりと移行できれば、当社は国内最大のクラウドサービスプロバイダーになれる」との見方を示した。
この見方と冒頭の発言を合わせると、「データベースを軸としたエンタープライズグレード」というのが、オラクルの真骨頂である。先述したように、現時点ではメガクラウドを追いかける立場だが、エンタープライズ市場がクラウドへ移行するのはこれからが本番とも言われている中で、オラクルがデータベースのクラウド利用をテコに勢いを増してくる可能性はありそうだ。