企業はモノのインターネット(IoT)デバイスの利用に積極的になっている。これは、製品や工場のフロア、遠隔の作業現場、車両の中などの「エッジ」に存在する情報に価値を見出しているからだ。しかし、エッジコンピューティングのメリットを最大限に生かすには、隠れたコストや想定外のコストが発生して経費が予想外に高くなってしまわないように、慎重に計画を立てる必要がある。
エッジコンピューティングとは
広い定義で言えば、エッジコンピューティングはデータの生成、収集、およびデータが生成された場所での分析を包含した概念だ。この考え方は、データセンターのように中央の拠点で集中的に処理を行うやり方とは対照的だと言える。IoTデバイスには通常、ある程度エッジコンピューティングの要素が含まれていると考えられている。これは、データの一部をデバイス上で処理する能力を持っているためだ。しかし、データをリアルタイムで送信する場合や、データを集約し、プログラムした間隔で集中処理を行うシステムに送信する場合もある。
エッジコンピューティングデバイス(あるいはIoTデバイス)の中には、使い捨てのものや、バッテリーが交換できず、標準的なコンピューティングデバイスなどに比べ寿命が短いものもある。
エッジコンピューティングにかかる費用は
現実的には、エッジコンピューティングの費用は導入の規模や、収集・処理されるデータの量、導入環境の地理的条件などの要因によって大きく左右される。
最初に検討すべきなのは、必要なセンサーの数だ。導入環境によっては、ハブアンドスポーク方式を採用して、出入口(あるいは建築物に設けられているその他の物理的な境界)を通過するスマートタグを記録していくような形式を使うこともある。製造現場であれば、バーコードとスキャナーを使うことで、使い捨てのデバイスを利用するコストを最低限に抑えられるかもしれない。RFIDを利用したスマートタグの費用は、簡単に積み上がってしまう。標準的なタグの価格は、卸売価格で1つ15セントほどだ。
収集・処理されるデータの量も重要な要素になる場合がある。IoTデバイスが「AWS Lambda」のイベントのトリガーとなる場合、イベントが発生する頻度や処理の長さも問題になるかもしれない。適切に最適化されていれば、イベントなどの数に応じて課金されるサーバーレスコンピューティグは、定額料金の仮想マシンを利用するよりも費用対効果が高くなるはずだ。
同様に、導入環境によっては場所が重要な要素になる。デバイスが有線接続や無線LANでネットワークに接続されているオンプレミス環境の場合、接続費用は基本的に無料だと見なして構わないかもしれない。このような環境では、電気代やもともと利用していたインターネット接続の費用を除けば、あまり追加費用は発生しない。遠隔地のデバイスを利用する場合、モバイル(携帯電話)ネットワークの利用料金が発生することが多いが、この場合の料金は通信量に応じて決まる。もしモバイルネットワーク越しに動画のストリーミングを行えば、経費は高くなってしまうかもしれない。