「デジタルプラットフォーマーを脅威と捉えず、上手に利用すればいい」――。日本企業の経営者からこんな声が聞かれるようになった。デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進したい企業はそう考えるべきではないか。
ファストリ柳井会長による「発想の転換」の発言
「GAFAは脅威の存在ではなく、一般企業にとって国を越えてビジネスを行うためのインフラとして利用すれば、チャンスになる」
こう語るのは、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長だ。10月28日に開幕した日本経済新聞社などが主催する第21回日経フォーラム「世界経営者会議」のスピーチでのひとコマである。翌29日付の日経新聞で報道された。
筆者はこの報道を受けて、企業経営層の数人の知人に意見を聞いてみた。その反応は、ほぼ肯定的なものだった。柳井氏が語ったことは「発想の転換」でもある。筆者も知人たちに意見を聞いてみたくなったのは、多くの企業がDXに取り組みつつある中で、同氏が言うようにデジタルプラットフォーマーのサービスを上手に利用すべきだと考えたからだ。
改めてGAFAというのは、Google、Apple、Facebook、Amazon.comの頭文字を並べた、デジタルプラットフォーマーを象徴する言葉だ。クラウドサービス分野でいえば、上記のAmazon、GoogleとともにMicrosoftもデジタルプラットフォーマーに挙げられるだろう。
こうしたデジタルプラットフォーマーがこれまで脅威と捉えられてきたのは、企業がDXを進めていくと、どの業界でも既にデジタルプラットフォーマーが大きな影響力を及ぼしていることを強く感じさせられるからだ。そこで、これまで考えがちだったのが、「どうすればデジタルプラットフォーマーに対抗できるか」、あるいは「デジタルプラットフォーマーの影響を受けないようにするにはどうすればよいか」ということだった。
それに対し、柳井氏の発言は、「デジタルプラットフォーマーを脅威と捉えず、上手に利用すればいい」と解釈できる。