2019年は、AMDの躍進が目立った。Intelは、10ナノミリ(nm)の半導体製造プロセスでトラブルを抱え、新プロセッサーが計画通りリリースされなかった。製品供給面でも大きなトラブルを抱えた。このように見ていると、プロセッサー市場は、大きな曲がり角に差し掛かっているのかもしれない。
2020年は、ハードウェアメーカーやユーザーがIntelからAMDへ全面的に切り替えるとは予想しがたいが、AMDがある程度の市場を占めることになるだろう。それ以上に大きな変化は、スマートフォンなどで主流のARMプロセッサーがPCの領域に拡大してきていることだ。また、人工知能(AI)の利用領域の拡大によって、クライアント側でもAI機能を高いパフォーマンスで利用できるようなハードウェアが必要になってきている。こうした状況を踏まえた2020年のプロセッサー事情として、前回のIntelに続き、今回はAMDの動向を読み解く。
AMDは、Zenアーキテクチャーへの移行によって、それ以前にほとんど市場を失っていた状態から徐々にシェアを広げている。特に、2019年にリリースされたZen2アーキテクチャーを採用するRyzen3XXXXシリーズや、サーバー向けのEPYC7002シリーズは、Intelのつまずきと相まって、徐々にシェアを広げた。ゼロだったAMDのプロセッサーを採用するPCベンダーやサーバーベンダーも2019年になり増えてきた。2017年や2018年にリリースされたZenやZen+の評価を見て、多くの企業が採用を本格的に検討し出したといえる。
2020年にリリースされるAMDのプロセッサーとしては、CPUとGPUを統合したAPUとして「Renoir」がある。Renoirは、Ryzen3XXXシリーズ(Zen2)と同じく7nmの製造プロセスで作られる。