Microsoftは最近、「Project Verona」という旗印の下、「インフラのための安全なプログラミング」に向けた新言語の創出という目標を掲げ、人気のプログラミング言語「Rust」からのアイデアを取り入れることを明らかにして注目を集めていた。
Microsoftのリサーチャーであり、ケンブリッジ大学コンピューター研究所に在籍していたこともあるMatthew Parkinson氏は、2019年11月にProject Veronaについて初めて詳細を語り、Microsoftがこのプロジェクトを間もなくオープンソース化すると約束していた。
Microsoft Researchは今回その約束を果たし、Project VeronaをGitHub上でオープンソース化し、同プロジェクトに関するさらなる詳細と、より優れたメモリー管理とコンパートメント化、「広範囲に及ぶサンドボックス化」を通じてより安全性の高いシステムを構築するという目標を提示している。なおProject Veronaには、インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者も協力している。
Parkinson氏が説明しているように、Project Veronaは、Microsoftのレガシーなコードの多くに残っている、CやC#といった言語で記述されたコードを捨て去るのではなく、よりよい保護を加えたいと考えており、コードがセキュアになるよう支援するという狙いがあるようだ。
GitHub上のProject Veronaのページでは、プロジェクトチームが取り組んでいる大まかなテーマが概説されている。またその詳細を近々論文として公開し、査読にかける予定だと記されている。
Project Veronaにインスピレーションを与えたプログラミング言語は、Rustだけではない。「Cのより安全な方言」であるCycloneや、Microsoft Researchのメンバーが貢献しているPonyがある。
GitHubのページでは、Parkinson氏が書いているように、Project Veronaが製品ではない点とともに、MicrosoftによるC++やC#、Rustの今後の利用とは無関係である点が強調されている。Microsoftは2019年に、「Windows」の低水準コンポーネントの記述にCやC++ではなく、Rustを試用していることを明らかにしていた。
GitHubのページで、「Project Veronaはリサーチプロジェクトであり、Microsoftにおけるエンジニアリングの選択に影響するものではない」と説明されている。
またGitHubのページには、「Project VeronaチームはMicrosoftにおいてさまざまな主要言語すべてを使用している人々とつながっており、彼らのエクスペリエンスから学ぶことで、重要な問題について研究していけると考えている」と記されている。
Microsoftは、Project Veronaを「リサーチプログラミング言語」だととらえており、オープンソース化によって、並行オーナーシップ(所有)というコンセプトについて探求したいと考えている学術分野の協力者を呼び込みたいと考えている。
Parkinson氏は、Project Veronaの狙いやコンセプトなどについてもさらなる詳細をまとめている。Project Veronaによって「インフラプログラミング」というシステムプログラミングの分野を開拓していると同氏は説明している。
また同氏は「Project Veronaにおいて、われわれの研究言語がVeronaのランタイム自体の実装に適したものになるとは期待していない。それは明らかにプロジェクトの目標ではない」とも記している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。