IBMは米国時間1月21日、2019会計年度第4四半期決算(12月31日締め)を発表した。Red Hatの業績が期初から決算に組み入れられている同期は、成長路線に向けた復活の兆しが見て取れる。売上高は前年同期比で若干伸びたが、通期では前年を下回っている。
第4四半期の売上高は前年同期比0.1%増の218億ドル、非GAAPベースの1株あたり利益は4.71ドルだった。アナリストは売上高を216億4000万ドル、1株あたり利益を4.68ドルと予想していた。
通期では、売上高が前年比3.1%減の771億ドル、非GAAPベースの1株あたり利益は12.81ドルだった。アナリストの予想通りとなった。
最高経営責任者(CEO)Ginni Rometty氏は「2019年は力強い勢いを見せて終了した。第4四半期にはクラウドの業績がさらに伸び、全体的な売上高が成長軌道に戻っている」とし、「その結果、今後に目を向けると、顧客のミッションクリティカルなワークロードをハイブリッドクラウドに移行するとともに、顧客がコグニティブなエンタープライズになるための取り組みを拡大させる上で支援を続けるなか、2020年に売上高の継続的な成長を実現できる位置にある」と述べた。
Red Hatを含むクラウドおよびコグニティブソフトウェア部門の売上高は、前年同期比8.7%増の72億ドルだった。IBMのクラウドやソフトウェア販売にRed Hatが寄与した額は5億7300万ドルだ。Red Hatの売上高を過去との比較可能性を考慮して正規化すると10億6000万ドルとなる。
システム部門の売上高は16%増加した。「IBM Z」などがけん引した。ストレージシステムの売上高は3%増となったが、グローバルテクノロジーサービス部門は4.8%減だった。グローバルビジネスサービス部門は0.6%減となった。
通期のクラウドの売上高は前年同期比11%増の212億ドルとなった。IBMの今後の目標は、Red Hatの売上高とシナジー効果をてこにするとともに、成長が期待されるエンタープライズソフトウェア関連の投資を収益に結びつけるというものになるだろう。
Moor Insights & Strategyの主席アナリストであるPatrick Moorhead氏は、「システムやRed Hatがけん引し、IBMは非常に素晴らしい四半期となった」とし、「システム関連の2桁成長を支えているのは、累積需要を抱える新しい『IBM z15』メインフレームのほかに、Red Hatの『良さ』が効き始めていると考えられる。売上高は横ばいだが、少なくとも他の企業に見られるような低下は見られない。私はこの四半期か次の四半期で、IBMが全体的な成長に転じるとみている。同社は、クラウド分野で優れたバリュープロポジションの1つを有しており、Red Hatの伸びつつある資産を有している」と述べた。
IBMは2020年通期の見通しについて、非GAAPベースの1株あたり利益が13.35ドル以上になると予想している。
IBMの最高財務責任者(CFO)James Kavanaugh氏は、「Red Hatの買収が完了し、強力なフリーキャッシュフローと統制の取れた財務管理によって、われわれは2019年後半に多くのデレバレッジを実現した」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。