大企業の顧客はオープンソースソフトウェアの素晴らしさを確信している。Red HatのLinuxおよびクラウド部門は、1000人近くにのぼる大企業のITリーダーを対象に調査を実施し、このほど「The State of Enterprise Open Source」(大企業におけるオープンソースの現状)というレポートを公開した。同レポートによると、回答者の95%はオープンソースが「自社組織全体のエンタープライズインフラソフトウェア戦略を構築するうえで戦略的に重要なものになっている」と答えたという。
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このことは明らかだ。RedMonkのアナリストであるStephen O'Grady氏が2005年に「So you took over the enterprise: What now?」(君たちは大企業を手中に収めた:次はどうする?)に記しているように、オープンソースソフトウェアやオープンソース型の開発アプローチは既に転換点に到達している。2020年の最高情報責任者(CIO)や最高技術責任者(CTO)、その他の上級ITマネージャーの圧倒的大多数がオープンソースの活躍する未来を見出している点に驚きはない。
蛇足ながらこの調査は、Red Hatのユーザーのみを対象としたものではない。回答にあたっての条件は、何らかのエンタープライズ向けオープンソースソフトウェアを使用しており、組織内におけるLinuxのインストール比率が少なくとも1%であるというものなどだ。回答者らはRed Hatの顧客ばかりではなく、Red Hatの資金提供を受けた調査だということも知らされていなかった。
Red Hatの2019年の調査では、回答者が使用しているソフトウェアの半数以上(55%)は依然としてプロプライエタリーな製品だった。しかし2020年の調査では、その割合は42%に低下している。さらに今後の2年でプロプライエタリーソフトウェアの割合は32%にまで低下すると予測されている。対照的に、エンタープライズ向けオープンソースソフトウェアが組織に占める割合は現在36%となっており、今後の2年で44%に増加すると予測されている。
また、意思決定者はオープンソース計画に対して積極的だ。回答者の77%はエンタープライズ向けオープンソースソフトウェアの利用が増加すると見込んでいる。Red Hatのエバンジェリストであり、このレポートの著者でもあるGordon Haff氏は、プロプライエタリーソフトウェアがオープンソースソフトウェアによって置き換えられている最大の理由として、「プロプライエタリーソフトウェアは、そのライセンスが高額であり、柔軟性にも欠けているため、資本的支出(CAPEX)の高騰とベンダーロックインにつながるという懸念から人気を失っている」という点を挙げている。
またHaff氏は、「エンタープライズ向けソフトウェア分野では一般的に変化が緩やかであるという傾向を考えると特に」、組織がプロプライエタリーソフトウェアに背を向けるペースは特筆に値するとしており、「驚くべきことに、エンタープライズ向けオープンソースソフトウェアは次の2年で36%から44%に伸びると予測している」と述べている。