Google Cloudは米国時間3月5日、クラウドップラットフォーム「Anthos」をネットワークエッジに拡張する「Anthos for Telecom」を発表した。新サービスはGoogleの新しい広範な戦略の一角を成すもので、通信業界が5Gやクラウドの可能性を活用できるよう支援する。
GoogleはAnthosなどのサービスや新しいパートナーシップを通じて、サービスプロバイダーが運用コストを削減しつつ、新たなビジネスモデルや収益機会を開拓できるよう支援する計画だとしている。
Anthosについて、Google Cloudのエンジニアリング担当バイスプレジデント、Eyal Manor氏は米ZDNetに対し、「最高のクラウドサービスをあらゆる場所で、マネージドサービスとして利用できるようにすることが目標だ。世界中で5Gの機運が高まっている今が最高のタイミングだった」と述べた。
2019年に発表されたAnthosは、オンプレミスやどのクラウド環境でもアプリケーションを管理できるプラットフォームだ。Anthosをネットワークエッジに拡張することで「新たなユースケースが生まれる」とManor氏は言う。
通信事業者は5Gを使って、ネットワーク中心のビジネスモデルからアプリケーションレベルへと移行することに関心を持っているとManor氏は指摘する。しかし「今日まで、通信事業者にはアジャイルな開発環境、エッジでサードパーティーのアプリケーションに開かれた環境があまりなかった。非常に遅いインフラだった。新しいデバイスやアプリケーションへのコネクティビティを確保するコストも非常に高かった。Anthosを活用すれば、エッジでもクラウド上と同じように、1日に何度もデプロイできるようになる」
サービスレベルでスタックを確保できれば、実行している場所を問わず、GoogleはCI/CDやロギングツールなど、最新の開発ツールを通信各社にエッジ上で提供できる。Manor氏は、これはイノベーションへの扉を開くものだとしている。
Anthosを利用すれば、通信事業者は新たなビジネスモデルやアプリケーションの開発に取り組むだけでなく、エッジで機械学習のワークロードを走らせることも可能になるとManor氏は述べる。サービスの自動化で運用コストの削減にもつながる。
ネットワーク中心のアプリケーションを開発するためのオープンなプラットフォームを提供することは、Googleの新戦略「Global Mobile Edge Cloud(GMEC)」の第一段階でもある。Googleは、新しいアプリケーションをデプロイするための、グローバルに分散されたエッジも実現する計画だ。Google Cloudは通信事業者と連携することで、各社の5Gネットワークエッジだけでなく、すでに通信ネットワークにデプロイされているGoogleエッジ拠点の活用も目指す。
「モバイルエッジとGoogleのエッジを組み合わせれば、相当規模のグローバルなカバレッジを達成できる」とManorは述べる。「これは当社サービスの大きな差別化要因だ」
また、Google Cloudは通信事業者と新たな5Gソリューションを提供するためのパートナーシップも締結している。AT&Tとは、小売、製造、輸送といった業界向けの5Gエッジコンピューティングソリューションのポートフォリオ開発で提携することを発表した。
その他の企業とのパートナーシップでは、製品やサービスを通信業界向けに最適化し、各社のITオペレーションを改善することを目指す。例えばAmdocsとのパートナーシップは、サービスプロバイダーがGoogle Cloud上でAmdocsの顧客体験プラットフォームを実行するとともに、新たなデータアナリティクス、サイトリライアビリティエンジニアリング(SRE)、5Gエッジソリューションを法人顧客に提供することを可能にするものだ。Netcrackerとのパートナーシップでは、Digital OSS(Operations Support Systems)とBSS(Business Support Systems)、そしてオーケストレーションスタック全体をGoogle Cloud上でデプロイできるようにしている。
Googleの広範な通信企業向けの計画では、データアナリティクスの「BigQuery」や「Contact Center AI」など、カスタマーエクスペリエンスの向上を支援するツールも活用しようとしている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。