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展望2020年のIT企業

SHIFTが新型コロナの危険手当を支給するワケ

田中克己

2020-04-28 07:00

 ソフトウェアテスト事業を展開するSHIFTの丹下大社長は4月9日、オンラインで開催した2020年8月期第2四半期(19年12月~20年2月)の決算説明会で、新型コロナウイルス対策の一つとして、一部の社員に1日当たり3000〜4000円の危険手当を支給すると公表した。

 同社は社員の安心安全を守り雇用を維持するために、1月末から全社員の渡航履歴調査、毎朝の体温測定報告、在宅勤務の導入、顧客への在宅勤務提案など、新型コロナ対策を広げてきた。加えて、在宅でのセキュアな環境を整えた結果、社員の約53%(1485人)が在宅勤務できるようになったという。その一方で、事務所に出勤したり、顧客先に常駐したりしなければならない社員がいる。そんな社員に危険手当を支給する。

SHIFTによる新型コロナ対策 SHIFTによる新型コロナ対策
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 そうした施策が、今後も人材の確保・育成を重要視する同社の姿勢を示すことにもなる。しかも、新型コロナの終息後に市場環境が一変しても、丹下社長は「IT人材は不足する」と予想する。ソフトウェアテストの需要がますます拡大するからだろう。例えば、SAP、通信関連の顧客開拓と売上拡大が進んでいる。システム開発やプロジェクト管理、デジタル変革(DX)などの上流向けサービスの展開も計画する。

売上高1000億円目指し、積極的な採用計画を推進

 SHIFTは2020年8月期に売上高300億円を目指す「SHIFT300」と呼ぶ戦略を立てて、ITエンジニアを4500人に増員する採用計画を推進してきた。結果、計画より若干少ないが、売上高約280億円、エンジニア数4000人弱を確保できる見通し。ちなみに、2月末の直接雇用は2135人(前年同期1375人)、契約社員などの有期雇用は1279人(同585人)、パートナーは510人(同509人)となり、合計で前年同期に比べて1.5倍超の3924人(同2469人)になる。丹下社長によれば、応募は確実に増えており、最近は月に2000人を超え、4月には290人が入社したという。人材を紹介する社員に300万円の報奨金を出すリファラル施策や合併・買収も推進する。3〜4月にかけて、ウェブアプリ開発などを手がけるナディアやxbs、PCリユース事業を展開するSNCが連結傘下に入ったところ。

エンジニア数の推移 エンジニア数の推移
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 次の目標は、2022年8月期に売上高500億円、エンジニア5700人とする「SHIFT500」、その先に2025年8月期に売上高1000億円、エンジニア1万人とする「SHIFT1000」がある。そのため、エンジニアの育成・確保に一段と力を入れるとともに、エンジニア一人ひとりの月単価をアップさせる計画を練っている。丹下社長は「この業界は分かりにくい給与体系で、自分の単価を知らずに仕事をしているエンジニアが30%弱もいる」とし、透明性を持って給与に還元する体系にする考えを明かす。「やりがいと給与が社員の満足度を上げる」(同)からでもある。例えば、月単価が65万円なら給与は350万円、100万円なら550万円、150万円なら850万円などとし、それに必要なスキルを定義し、オンラインなどの教育コースを用意する。

 事実、多くの社員が入社後、年10%の昇給などを実現しているという。同社の社員アンケート調査(回答は1421人)によると、月単価が入社前の106万円から123万円と約15%アップし、年収は585万円から663万円と約13%の増額になっているという。3次請け出身の社員は、月単価が79万円から119万円と約50%増になり、年収も501万円から632万円になったという。そこに危険手当を支給すれば、ソフトウェアテストを手がけるエンジニアの重要性を世に伝えることにもなる。

 IT産業は新しい開発手法などを取り入れたスタートアップ企業の台頭などもあって、ビジネスモデルも一変するだろう。1つは「顧客先に常駐し、時間でチャージすることが変わる」(丹下社長)。人月から成果報酬になるということ。2つ目は「在宅勤務が当たり前になるなど、ライフスタイルが変わる」(同)。価値観やライフスタイルの変化が、新たなITサービスを創り出すことにもなる。さらに開発環境のクラウド化が進み、働く場所が会社と自宅になれば、販売管理費のシェアも進むという。3つ目は、IT人材のスキルや人物信用スコアがより重要な世界になること。丹下社長は、そんな時代に求められるエンジニアの育成、確保に一段と力を入れるのだろう。

田中 克己
IT産業ジャーナリスト
日経BP社で日経コンピュータ副編集長、日経ウォッチャーIBM版編集長、日経システムプロバイダ編集長などを歴任、2010年1月からフリーのITジャーナリスト。2004年度から2009年度まで専修大学兼任講師(情報産業)。12年10月からITビジネス研究会代表幹事も務める。35年にわたりIT産業の動向をウォッチし、主な著書は「IT産業崩壊の危機」「IT産業再生の針路」(日経BP社)、「ニッポンのIT企業」(ITmedia、電子書籍)、「2020年 ITがひろげる未来の可能性」(日経BPコンサルティング、監修)。

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