Facebookは今週、同社が没入体験やその関連ツールに関して進めてきたさまざまな取り組みの進捗状況を公開した。これには、2021年に発売される予定で、拡張現実(AR)グラス実現に向けたステップとなるスマートグラスや、仮想現実(VR)を利用した会議やオフィス業務を可能にする企業向けのツールなどが含まれている。
同社はまず、Ray-Banブランドのスマートグラスを2021年に発売する計画を発表した。同社は、Ray-Banブランドを所有するEssilorLuxotticaと提携して、スマートグラスを開発していることを明らかにしたが、それ以外の詳細には言及しなかった。製品名や仕様、ソフトウェアの機能、価格などの情報が公開されるのは、2021年の発売日が近づいてからになるという。
Facebookの最高経営責任者(CEO)Mark Zuckerberg氏は、このスマートグラスは、拡張現実(AR)グラスを開発するための道を切り開くものだと述べている。
同氏は、AR/VRをテーマとした年次カンファレンスである「Facebook Connect」(旧称「Oculus Connect」。2020年はオンラインイベントとして開催された)で、このスマートグラスは「まだARグラスとは言えないが、ARに向けた途上にある」と述べ、「私たちは今後数年間で、どのようにその目標にたどり着くかについての見通しを持っている」と続けた。
Facebookの没入型体験に関するもう1つ目玉は、未来の仕事のあり方に関するものだった。同社は、新型ヘッドセット「Oculus Quest 2」の企業向けエディションと、「Oculus for Business」向けに新たなリソースについての発表を行った。同社はまた、Questプラットフォームを利用して、仮想オフィス空間を生み出し、作業を行うことを可能にする「Infinite Office」機能を発表した。
Zuckerberg氏自身も、VRだけで行う最初の経営チーム会議を経験したという。同氏は、「空間を共有する感覚を得られた」ため、その経験は現在の仮想コラボレーションツールで実現可能なものよりも優れたものだったと語った。
同氏は「完全に再現されたアバターがなくても、(中略)空間の感覚と空間オーディオが共有できる。(中略)これにより、結果は大きく違ったものになっている」と述べ、さらにARとVRは「これまでで、もっとも社交的なプラットフォームになるだろう。そしてこれはまだ始まりにすぎない」と付け加えた。
Facebookはすでに、Oculus for Businessで企業のVR利用を支える取り組みを始めており、車両管理などの企業向けの機能や、エンタープライズ水準のサポートを提供している。また同社は、「Workplace」アカウントなどをはじめとする、企業による利用を意識した環境を用意している。Oculus for Businessのソフトウェアは、Facebookのエンタープライズ向けコラボレーションプラットフォームである「Workplace」上に構築されている。