名刺管理サービス「Sansan」を開発、提供するSansanが10月28日に開催したオンラインイベント「Sansan Innovation Summit 2020」にセールスフォース・ドットコム 執行役員 セールスディベロップメント本部 本部長 鈴木淳一氏が「ニューノーマルにおける新しいマーケティング&セールス戦略」と題した講演に登壇した。
セールスフォース・ドットコム 執行役員 セールスディベロップメント本部 本部長 鈴木淳一氏
鈴木氏は自社のクラウドサービスとSansanを掛け合わせることで「顧客のリアルな組織図やパワーチャートの把握、最短かつ最適なコンタクト先への営業アプローチが実現できる」とコロナ禍におけるマーケティング&営業施策を語った。
コロナ禍でビジネス現場のコミュニケーションは大きく変化した。膝を詰めた対面商談の機会は大幅に減り、オンライン会議を用いたリモート営業を強いられ、「われわれには変化に対応できる柔軟性が求められている」(鈴木氏)
3月以降、ほぼすべてのマーケティング&営業活動をオンライン化したセールスフォースはコロナ禍におけるマーケティング活動として「当たり前な部分」(鈴木氏)と前置きしながら、見込顧客を段階別、製品ペルソナ別、業界別、従業員規模別と複数の切り口を組み合わせたターゲット設定で顧客に訴求してきた。
顧客もリモートワーク下にあるため、同社はオンラインを活用したキャンペーン戦略も再策定している。
認知度向上とブランド構築の側面では、ブログの連載記事を充実させ、リターゲティングや検索エンジン最適化(SEO)に注力。見込顧客獲得活動(リードジェネレーション)の側面では、eBookやウェビナー、有料記事、バナー広告を刷新し、「顧客に対するメッセージを引き直した。一連の活動を通じて(バーチャルイベント)『Salesforce Live』にたどり着いている」(鈴木氏)
金融・公共や製造など業種別ごとに切り口を変えたSalesforce Liveは開催数8回を数え、別途開催しているオンラインセミナー数は2019年度の5倍にあたる約600件。視聴したユニークユーザー数は1万5000人以上に上った。
コロナ禍における営業活動についてセールスフォースは、顧客の状況を「組織の安定化」「事業再開期」「ビジネス成長期」の3段階に切り分けている。その理由として鈴木氏は「顧客の状況にあわせてアプローチしないと、商談化率は低下し、検討期間も延長。その結果、受注率は低下してしまう。われわれは組織力で対応した」と説明する。
同社は顧客に対して「深い共感と傾聴」「売り込みを前提としないアプローチ」「われわれができることを提供する」の3要素が必要であると提唱、インサイドセールスを「顧客に最も近く変化を捉える存在」(鈴木氏)と営業部門やマーケティング部門など部門間をつなぐ重要な職種であると述べた。コロナ禍においてインサイドセールスの対応回数は前年度比2倍の約430回を数えるという。