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内山悟志「デジタルジャーニーの歩き方」

デジタル時代に求められる組織文化--円滑なDXの推進を支える6つの要件

内山悟志 (ITRエグゼクティブ・アナリスト)

2020-12-16 06:00

 デジタルを前提とした企業への変革に向けたDX(デジタル変革)の推進においては、技術そのものよりも重要であるものの、難易度が高く、多くの日本企業にとってネックとなっているのが組織文化です。今回はDXの推進を円滑にする組織文化の要件について考察します。

なぜDXに組織文化の変革が必要なのか

 本連載「デジタルファーストへと進化するDXの本質」では、今後はデジタルが「手段」ではなく「前提」に変わっていくことで、ビジネスモデル、取引や顧客との接点、働き方や社内の業務プロセス、意思決定や組織運営の方法、組織文化など全てが、デジタルを前提として組み立てられている企業が今後の目指す姿であるとし、DXの本質的な意義は「企業をデジタル“で”変革する」から「企業をデジタル“に”変革する」にシフトすると述べました。

 また、企業をデジタル“に”変革することを目指してDXを推進するに当たって重要な2つの要素として、「デジタル活用力」と「組織文化」を挙げました。今回は、その中で組織文化を取り上げたいと思います。それは、DXの推進においては、組織文化が技術そのものよりも重要であるものの、難易度が高く、多くの日本企業にとってネックとなっているからです。

 日本の多くの企業、とりわけ伝統的な大企業は、1960年代から1990年までの高度成長期に、売り上げや規模を拡大してきました。その際、売上高、利益率、費用対効果、効率性などを重要な指標として企業価値の向上を図ってきました。日本全体も、経済大国や先進国の地位を勝ち取ることを目標に掲げて努力してきました。この昭和の価値観や成功体験が今なお多くの企業に根づいていると言わざるを得ません。

 ピラミッド型の階層組織、上意下達の指揮命令、過去の成功体験に基づく意思決定など、高度成長期に形成された日本的経営モデルとそれを支えてきた組織文化は、大量生産を前提とした時代には合理的でしたが、デジタルを前提とした時代には不適合と言わざるを得ません。

 多くの企業で、既存事業へのデジタル技術の適用や、新規サービスの創出などに関わるDXの実践的施策が取り組まれていますが、その活動が停滞していたり、失敗に終わったりする状況が多く見られ、その根本的な原因の一つが組織文化にあると感じています。

 デジタル化の浸透によって時間的制約や物理的な限界が取り払われる中、企業はこれまでと同じ事業や戦略では生き残れないという危機感を持ち始めています。不確実性の時代と言われる今日は、過去の成功体験や先行事例に基づいて立案した戦略や、過去に生み出された競争優位性が何年にもわたって有効に機能する時代ではなくなっているのです。これは、企業は新しい価値を生み出し続けなければ生き残れないことを意味し、そのためにはこれまでの常識を捨て去らなければなりません。

デジタルに適合した組織文化の6つの要件

 『両利きの組織をつくる』(加藤雅則他著、英治出版)では「『組織文化』とは、企業理念や価値観・社風といった概念のことではない。具体的な『仕事のやり方』のことである。その組織で観察される特有の『行動パターン』であり、行動を規定している『組織規範』を反映しているものだ。『仕事の作法』とも言えよう」と述べています。すなわち、デジタル時代の組織文化とは、デジタルを前提とした人々の行動パターンとそれを規定する組織規範を意味し、その要件は、以下の6点に集約されます(図1)。

  1. DXの本質と変革の必要性への理解
  2. 創造的な活動の自由と支持
  3. ファクトに基づく意思決定
  4. 人材の多様性と組織のトライブ化への対応
  5. 個人の組織への貢献の可視化と正当な報奨
  6. リスクの許容と失敗からの学習
図1.デジタル時代に求められる組織文化の6つの要件 図1.デジタル時代に求められる組織文化の6つの要件
※クリックすると拡大画像が見られます

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