IBMとPalantir Technologiesは米国時間2月8日、ハイブリッドクラウドや人工知能(AI)、データ処理、運用テクノロジーを融合した、企業向け新製品の開発を目的とする提携を発表した。
両社はこの新たなソリューション「Palantir for IBM Cloud Pak for Data」によって、「企業に対して、『IBM Watson』を用いたAI搭載アプリケーションを容易に開発、配備する方法を提供するとともに、ユーザーに対しては、深い技術スキルを要することなく、ハイブリッドクラウド環境に散在する膨大なデータにアクセス、分析し、行動につなげることができるよう支援する」と述べている。
このソリューションは、Palantirのデータ統合、分析プラットフォーム「Palantir Foundry」を活用し、「IBM Cloud Pak for Data」や「IBM Watson」と統合される。
このソリューションによって、データのサイロ化が緩和されるとともに、AIを用いたアナリティクスを実行する際に総じて必要となる技術的な専門性が不要になる。IBMによると、AIを利用し、データドリブンな意思決定の強化、タスクやプロセスの自動化を実現するアプリケーションを開発するための「ローコード/ノーコード」プラットフォームを提供する狙いがある。ユーザーがデータを利用して迅速に、セキュアにAIアプリケーションを開発、導入し、「既存のエンタープライズシステムを補完、拡張するとともに、組織のデジタル変革を加速する」よう支援するという。
Palantirはこの提携の一環として、ハイブリッドクラウド環境における技術的な互換性の向上を目的に「Red Hat OpenShift」を採用する。
両社がこの提携を通じて特に注力するのは、小売や金融サービス、製造、ヘルスケア、通信といった分野の顧客だ。このソリューションの利用例として、小売分野における需給傾向の分析のほか、ヘルスケア分野におけるサイロに散在するデータの統合や、医療専門家に対するより一貫性のあるデータセットの提供などが挙げられている。
このソリューションは2021年3月に一般提供が開始される見込みだ。
Palantirの最高経営責任者(CEO)Alex Karp氏は、「Palantirは世界で最も重要な組織向けのソフトウェアを開発するために設立された」と述べ、「IBMとの提携により、われわれは力を合わせ、私たちの共同ソリューションを最も必要とする組織や人々の手に届けていく。そして、世界で最も重要な組織が前人未到のデジタル時代に向かうよう促す。また、われわれは責任あるAI、倫理的なAIの採用というIBMのコミットメントを共有している」とした。
IBMは1月、Salesforce製品に関するコンサルティングを手掛ける企業7Summitsを買収し、デジタル変革とハイブリッドクラウド、AIに向けた取り組みをさらに推し進めようとしている。また同月、マルチクラウドのコンサルティングとマネージドサービスのTaosを買収すると発表した。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。