Microsoftが新たに行った調査によれば、ビデオ会議に連続して参加すると、ミーティング中の集中力や積極性に悪影響を及ぼすだけでなく、ユーザーが強いストレスを受けるという。
Microsoftの研究者らは、ビデオ会議に連続して参加した際にユーザーの脳波がどんな影響を受けるかを調べ、会議の合間に5分間の休憩を取るだけでも、1日に蓄積されるストレスが大きく軽減されることを明らかにした。
この1年間で働き手の多くがリモートワークになったことで、これまではオフィスで行われてきたやりとりがオンラインで行われるようになった。これによって、多くの人の予定表は「Microsoft Teams」のキャッチアープミーティングや「Zoom」の会議でいっぱいになり、息をつく間もなく連続で会議を行うことも珍しくなくなった。
Microsoftはこの数カ月間で、「Microsoft 365」で予約された会議が30%、ビデオ通話が1000%増加したことを明らかにしている。
最近では、「デジタル過負荷(digital overload)」と呼ばれるメンタルヘルスに対する影響についての資料も集まりつつある。Microsoftが3月に発表した最新の「Work Trend Index」によれば、回答者の過半数(54%)は自分が働き過ぎだと感じており、働き手の39%は自分が完全に疲れ切っていると回答していた。
人間とテクノロジーの相互作用について研究しているMicrosoftの研究部門「Human Factors Lab」は、過去にリモート会議がユーザーの脳に与える物理的な影響についての調査を行っている。
2020年の夏、同研究所の研究者らは、脳の電気的活動を計測する装置である脳波(EEG)計を装着した状態で、ユーザーに対面とリモートで一定の作業を行ってもらい、環境の違いが脳波に与える影響を調べた。この調査では、画面に継続的に集中する必要があることや、減少した非言語的なコミュニケーションの手がかりを読み解いたりすることを含む複数の要因が、過負荷やストレスを示す脳波を発生させていることが明らかになった。
研究者らは、この調査の続きとして、連続してリモート会議を行った場合の影響について調べることにした。新たな調査では、自発的に参加した14人の被験者に脳波計を装着した状態でビデオ会議に参加してもらい、2つの異なる形態で行った会議中の脳波を調べた。
ある日の実験では、被験者は30分間の4つの会議に連続して参加し、それぞれの会議で異なるタスク(例えばオフィスレイアウトの設計やマーケティング計画の作成など)を行った。2回目のセッションでは、4つの会議の間に10分間の休憩を設け、被験者はその休憩の間に指定された活動を行った。今回の場合、その活動は瞑想アプリの「Headspace」を使用することだった。
結果は明らかだった。2時間連続で次々と会議を行った場合、時間が経過するほどストレスに関連する脳波(ベータ波)の活動が増加した。一方で、休憩を取るとその間にベータ波が低下し、「リセット」されてベータ波の平均レベルが安定する現象が起きた。その結果、4つの会議中に蓄積したストレスも低下した。
休憩には、ベータ波を減少させ、ベータ波の活動を平均的な水準に安定化させる「リセット」効果があるようだ。
提供:Microsoft