海外コメンタリー

NVIDIAが目指す「AI-on-5G」のロードマップ

Tiernan Ray (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2021-07-05 06:30

 NVIDIAは、スペインのバルセロナで開催された「Mobile World Congress」(MWC)で現地時間6月28日、5Gと人工知能(AI)のインフラを融合し、IntelやAdvanced Micro Devices(AMD)が製造するx86アーキテクチャーのプロセッサーだけでなく、Armアーキテクチャーのプロセッサーもサポートしていくと発表した。なおNVIDIAは、マイクロプロセッサー関連の知的財産(IP)を所有しているArmの買収手続きを進めているところだ。

 NVIDIAで通信関連製品の責任者を務めるRonnie Vasishta氏は、「Armは既に携帯電話市場における5Gテクノロジーの大手プロバイダーだが、5Gの無線アクセスネットワーク(RAN)を支えるインフラの進化とともに、ArmのCPUが持つ特長として知られている、低消費電力かつ高パフォーマンスな製品に対する需要が増加している」と述べた。

 Vasishta氏は「われわれはAIと機械学習(ML)が5Gネットワークの重要な要素になると確信している。またAIと5Gは既に、5Gネットワーク上で稼働するアプリケーションにおいて欠かせない要素になっている」と述べた。このためRAN、すなわちスタックを実行するネットワーク要素と、AIによるアクセラレーションを密接に連携させる必要があると同氏は述べた。

 NVIDIAは既に4月に、同社の年次カンファレンス「GTC」で5G機器の開発に向けた提携を発表している。そして、Armベースのチップという新たな要素が28日のプレスリリースで発表された。

 このニュースは、例年であれば2月に開催されているMWCの初日に発表された。なお、2020年のMWCは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを受けて中止されている。

 NVIDIAが「サーバー上で稼働するAI-on-5G」と呼ぶマシンは、GPU「NVIDIA A100」と、DPU「NVIDIA BlueField-2」(NVIDIAがMellanox Technologiesの買収によって入手した資産から生み出されたものだ)、CPU(Armアーキテクチャーあるいはx86アーキテクチャー)という3つの要素から成り立っている。そしてこのマシンは「NVIDIA Aerial」の5Gネットワーキング向けソフトウェアスタックと、「NVIDIA CUDA Deep Neural Network(cuDNN)」といったNVIDIAのさまざまなAIライブラリーを実行できる。

NVIDIA
提供:NVIDIA

 NVIDIAは、初期のサーバーコンフィギュレーションの先を見据えたロードマップを有している。2022年のどこかのタイミングで登場する次なるステージは、同社が「カード上で稼働するAI-on-5G」と呼ぶものだ。これにより、A100は次世代DPU「NVIDIA BlueField-3」を搭載したプラグインカードとなる。なお、BlueField-3は16基の「Arm Cortex-A78」がダイ上に搭載され、Armが「CPUクラスター」と呼ぶ形態を実現している。

 Vasishta氏は「これにより外部のホストはもはや不要になる」と述べた。すなわち、同社が考える「セルフホスト型」になるということだ。

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