Appleはまもなく「iPhone」のリニューアルを発表する予定だとみられているが、それに合わせて展開される「iOS 15」「iPadOS 15」「macOS Monterey」には、企業のデバイス管理を容易にするための機能が数多く追加される予定になっている。企業の管理者には魅力的に感じられるはずだ。
もちろん、新型iPhoneの発表イベントで、同社のソフトウェアに新たに追加される企業向けの機能が大きな注目を浴びることはないかもしれない。サムスンのイベントでは、コンシューマー向けのデバイスが中心の場合でもビジネス向けの要素が盛り込まれることがあるが、2021年版iPhoneのリリースイベントではコンシューマー向けの機能が中心になるはずだ。
しかし、Appleの企業向けの施策は重要な意味を持っている。Appleのソフトウェアやハードウェアは、Androidとの間で、B2B分野や教育分野を中心に熾烈な陣取り合戦を繰り広げているからだ。
簡単に言ってしまえば、この戦いで勝利を収めるのは、管理者や集中管理を行うIT部門にとって苦痛の少ないプラットフォームだろう。Appleが、BYODとデバイスの集中管理の両にらみで競争に臨んでいるのはそのためだ。AppleのOSのアップグレードは通常、新型iPhoneの発表と同じタイミングでリリースが発表されている。
ここでは、これらのことを念頭に置きながら、企業が知 っておくべきAppleが導入する新機能について見ていこう。
モバイルデバイス管理(MDM)関連のアップデートと宣言型デバイス管理。Appleは、同社のソフトウェアにデバイスを管理しやすくするための機能を着実に追加している。それに加えて、Jamfなどのモバイルデバイス管理ソリューション企業も、iOSで利用できるソリューションを提供している。
宣言型管理は、Appleの既存のデバイス管理プロトコルに追加される新機能で、常にポーリングを行わなくても、デバイスの設定やステータスに関するレポートを動的に収集できるようになる。宣言の種類にはデバイスの設定、アセット、アクティベーション、管理の4つがあり、将来性のある設計になっている。また、iOSとiPadOSの設定では、管理されたペーストボードの利用を強制できるようになる。この機能を利用すると、管理下にあるアプリから管理下にないアプリへのコンテンツのコピーアンドペーストを禁止できる。