海外コメンタリー

コロナ禍の先へ進むCIOはIT投資をいかに検討するべきか

Mark Samuels (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2021-10-13 06:30

 デジタル化に対する経営陣の姿勢は、ためらいがちなものになることが多い。しかしこの18カ月間は、多くの企業の最高情報責任者(CIO)が、大急ぎで進めるデジタルトランスフォーメーション(DX)計画に、すぐさま経営陣の許可を得ることができた。

 コンサルティング企業のDeloitteは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、多くの企業がテクノロジー投資の見直しを行い、多くの場合、リモートワークや、電子商取引や、サプライチェーンの強化を支えるための投資計画が前倒しにされたと述べている。

 しかしDeloitteは、急速なデジタル化が、企業経営に新たなリスクをもたらしていると警告している。同社によれば、企業はこの12カ月間に進めてきたデジタル化のプロセスに対するリスク評価を行うことを考えるべきあり、運用上の懸念事項を特定して、見つかったセキュリティの穴を修正する必要があるかもしれないという。

 その状況に当てはまる企業は、これからの12カ月間で、事業部門がコロナ禍に対処するために短期間で導入されたITシステムとプロセスの構造化を進めなければならない。このことは、IT担当役員に新たなプレッシャーを与えている。

 オーストラリアの旅行保険会社であるCover-More GroupのグループCIOを務めるNicki Doble氏は、コラボレーションプラットフォームやモバイルアプリを導入するプロジェクトによって、ITに対する過去に例のない短期的な要求に応えることはできたものの、対症療法的にテクノロジーを開発するだけでは、確実に成功につながるかどうかはおぼつかないと話す。これは、一部の企業が、反省と再編成の時期にきているとことを意味する。

 Doble氏は、「これらの修正作業が必要な企業では、経営陣が突如として、とにかく急いで技術を導入するだけでは必ずしもやりたいことをやれるわけではないということに気づく」と述べている。

 Gartnerによれば、世界的なIT支出は、企業のDXに対する取り組みを強化する必要性に後押しされて、2021年に前年比9%増の4兆2000億ドル(約440兆円)に達する見込みで、その支出の多くは、デバイス(13.9%)やエンタープライズソフトウェア(13.2%)、ITサービス(9.8%)などハイブリッドワーク戦略を支える技術に投じられるという。

 しかし同社は、先進的な企業は、デジタル基盤を固めると同時に、クラウド、ビッグデータ、その他の新興技術などによるデジタル化を進めることで長期的な事業の成長を目指す、新たな予算措置の段階に向かうと予想している。

 このため、多くのCIOは今、既存システムの改善と新サービスの導入の両方を含む、長い「To Doリスト」を抱えている。そのような状況で、どうすれば必要な資金を確保できるのだろうか。

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