Dell Technologiesは米国時間10月13日、メディアとアナリスト向けの年次イベント「Dell Technologies Summit」をオンラインで開催した。創業者で会長兼最高経営責任者(CEO)のMichael Dell氏をはじめ3人の幹部が同社の今後の戦略について、マルチクラウド、エッジコンピューティングを中心に話した。

Michael Dell氏
テクノロジー企業は顧客の問題解決なしに生き残れない
直販モデルでPCビジネスに革命を起こしたDellは、創業37年を数える。その間サーバーなどエンタープライズ分野への進出、株式の非公開化(その後再度公開企業に)、EMC買収などの変遷を経ている。Dell氏は、これを、これから始まる時代に向けての「準備段階」と述べる。データを使って競争優位性を作り出すことが求められており、そこではDellが提供するPC、サーバー、ストレージといったインフラが不可欠だからだ。
「(EMC買収により)必須のITインフラを提供する企業を作った。顧客の声を聞いて問題を解決できるポジションを確立した。オーガニックな成長を見込んでいたが、実際には300億ドル(約3.4兆円)相当の売り上げを得られた」とDell氏。
技術の役割はそれだけではない。Dell氏が37年前から抱いているという「技術が人間の生活を豊かにする」というビジョンは、ますます求められている。Dell氏は脱炭素、サーキュラーエコノミー(循環型経済)、インクルージョン(包含)とダイバーシティー(多様性)などの課題を挙げ、「地球にいる75億人全員が(デジタルの)将来に参加できていない。ここに大きな機会を感じている。テクノロジーは重要な役割を果たす」と、創業者らしくビジョンを強調する。
Dellは、2030年への“moonshot”として、持続性、インクルージョン、教育・健康などのライフスタイル、倫理・プライバシーの4分野で目標を掲げ、取り組みを進めている。Dell氏は、これら長期的目標と短期的視点の両立が重要だと付け加えた。
「今後も顧客が抱える未解決問題の解決を継続して進める。顧客の声に耳を傾け、ニーズが何かを理解しなければならない。勇敢になって自社の再構築を進め、将来に向けて投資を続ける」とDell氏。「テクノロジー企業のビジネスは将来の問題を解決すること。それをしなければ、企業は生き残れない」と断言した。