数年前から注目されながらも新型コロナの影響で影を潜めた感じのシェアリングエコノミー。ただ、デジタル技術を活用したシェアリングサービスのポテンシャルは、以前と変わることなく高いというのが筆者の見方だ。そんな折り、PwCコンサルティング(以下、PwC)がこの分野における消費者の意識調査を行った。その結果を基に考察してみたい。
シェアリングサービスの認知度や利用経験の調査結果はどう変化したか
最近はあまり話題に上る機会が少ないようなので、改めて説明しておくと、シェアリングエコノミーとは「個人や企業などが有する資産を提供したい人が、インターネットのマッチングプラットフォームを介して必要としている人に提供する経済活動」のことである。資産には、自動車や部屋といった有形資産だけでなく、スキルや時間などの無形資産も含まれる。
PwCが国内の消費者約1万人を対象に、2021年6月下旬から7月にかけて行った「国内シェアリングエコノミーに関する意識調査2021」の結果をこのほど公表した。2017年より毎年実施して今回が5回目となり、認知度や利用状況などについての5年間の推移も示している。まずは、同調査におけるシェアリングエコノミーの定義とサービスの分類を表1に記しておく。
表1:PwCによるシェアリングエコノミーの定義とサービスの分類(出典:PwCコンサルティング「国内シェアリングエコノミーに関する意識調査2021」)
本稿では最新調査の中から、シェアリングサービスの認知度と利用経験などについての結果を4つ取り上げておきたい。
図1は、シェアリングサービスの認知度を示した結果だ。表1の内容を説明した上で「いずれかのサービスを知っている」と回答した割合が49.9%と、2020年までの増加傾向から初めて減少した。これはやはり、新型コロナの影響で認知にブレーキがかかったと見て取れる。とはいえ、大まかには半数が認知している状況に変わりない。
図1:シェアリングサービスの認知度(出典:PwCコンサルティング「国内シェアリングエコノミーに関する意識調査2021」)
図2は、図1における49.9%の人たちに表1のサービス別認知度を示した結果だ。「移動手段」「モノ」「場所・空間」の上位3つは以前から高いスコアで推移しているが、今回の結果で興味深いのは「家事・手伝い・シッターなどのスキルや労働力」が大幅に増加している点だ。新型コロナの影響が見て取れる結果といえそうだ。
図2:シェアリングサービス別認知度(出典:PwCコンサルティング「国内シェアリングエコノミーに関する意識調査2021」)
図3は、シェアリングサービスの利用経験を示した結果だ。「利用経験あり」と回答した割合が21.6%と、2020年までの伸び率と比べると鈍化した。「利用経験」なのでこの結果は基本的に積み上がっていく形だが、ここもやはり新型コロナの影響でブレーキがかかったのが見て取れる結果といえるだろう。
図3:シェアリングサービスの利用経験(出典:PwCコンサルティング「国内シェアリングエコノミーに関する意識調査2021」)