NECと日本オラクルは10月28日、クラウド領域での協業を強化すると発表した、企業や公共組織におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)では基幹システムのクラウド移行と最適化が不可欠だとし、各種の取り組みを拡充させるとしている。
DXでは、既存の事業モデルの変革あるいは新規の事業モデルの創出を目指すべく、データの活用が欠かせないとする。データ活用には、データが蓄積されている基幹システムをクラウドに移行して利用しやすくする必要があり、両社は基幹システムの必須要件である可用性や安全性を担保した上で、運用管理性の向上とデータ活用を促進していける環境を提供していくとする。なおNECは、日本オラクルと30年以上に渡る協業関係にあり、「Oracle Partner Network」(OPN)のパートナーとなっている。
今回の協業強化では、(1)基幹システムのデータ基盤をOracle Cloudへ移行・運用するサービスの提供、(2)高度なデータセキュリティと可用性を実現するアーキテクチャーの構築とサービスの提供、(3)サービスを支える人材および体制の強化――を掲げている。
(1)では、NECと米Oracleの開発部門および日本オラクルが持つノウハウをベースに、基幹システムにおけるOracle DatabaseをOracle Cloudへ安全に移行するサービス(アセスメント、データベース移行のサービス)を共同開発した。NECによれば、Oracle Cloudの移行ツールを活用して移行設計に要する時間を半減、移行作業に要する時間を3割減にできるとしている。今後は両社で「NECマルチクラウド運用サービス」を拡充し、基幹システム向けのデータベース運用サービスを提供する。
(2)では、NECが持つセキュリティを織り込んだ設計開発などの知見とOracle Cloudのセキュリティ機能の融合を図り、クラウド型データベースの設計から運用までの強固なセキュリティを実現し、顧客に提供していく。日本のクラウド環境に合わせたという「Oracle Cloud Maximum Availability Architecture」を両社で共同検証し、ハイブリッド/マルチリージョン環境における高可用なリファレンスアーキテクチャーを構築。今後はこのアーキテクチャーを反映したサービスを提供していくという。
(3)では、NECがOracle Cloudの有資格者を今後2年で500人規模に増員する。既に知見を持つ専門人材を中心とした「Oracle Cloud CoE(Center of Excellence)」を組成し、データベースのクラウド移行からシステム構築・運用までの一貫したサービス提供を行っていく。
協業強化を発表した日本オラクル 取締役 執行役 社長の三澤智光氏(左)とNEC 執行役員常務の吉崎敏文氏(両社報道発表資料より)
協業強化について日本オラクル 取締役 執行役 社長の三澤智光氏は、「基幹システムに不可欠とされる高度なセキュリティと可用性を備えるOracle CloudとNECの企業や公共機関におけるクラウドプロジェクトの知見を融合することで、日本のお客さまのDXが加速されることを期待している」とコメント。またNEC 執行役員常務の吉崎敏文氏は、「これまで進めてきた協業関係をクラウド領域へ拡大し、また、基幹システムを支えるNECの知見を生かし、Oracle Cloud CoEによる移行サービスや運用サービスなどをご提供することで、日本のお客さまの基幹システムの安全・安心なクラウド移行を実現できると確信している」と述べている。