シュナイダーエレクトリックは11月4日、企業の脱炭素化を通じてビジネスのサステナビリティー(持続可能性)を支援するコンサルティングサービス「Energy&Sustainability Service」(ESS)事業を新たに開始すると発表した。9月1日にESS事業部を発足させ、今後3年間で100プロジェクトの受注を目指す。
シュナイダーエレクトリック 日本統括代表の白幡晶彦氏
同日記者会見した日本統括代表の白幡晶彦氏は、地球温暖化の一因とされる二酸化炭素の排出抑制など世界的な環境保護の取り組みや、SDGs(持続可能な開発目標)などを背景とする企業のサステナビリティー(持続可能性)に向けた対応が広がる状況を踏まえ、新しいESS事業の位置付けを説明した。
新設したESS事業部
同社は、データセンターの電力管理をはじめ広範なエネルギー関連ソリューションを手がける。白幡氏は、これまで自社事業やエコシステムと、顧客に提供するソリューションの2つの軸で環境への取り組みを推進してきたと述べた。前者では、2005年から「サステナビリティインパクト」と呼ぶ定量的な目標と実績を公開しており、全社施策としてこれを推進しているという。後者では、例えば、データセンターの電力消費の可視化や最適化支援といった多様なサービス・製品などを展開しているとする。
今回のESS事業は、こうした実績を踏まえて日本市場向けに新たに提供を開始するという。なお、海外では既に100カ国以上で同事業を展開しているという。
ESS事業部 シニアセールスマネージャーの加藤道久氏
ESS事業を担当する同部 シニアセールスマネージャーの加藤道久氏は、日本企業の現状について、多くの企業が脱炭素の必要性を認識しているものの、大半はまだ取り組みに着手したばかりで、進んでいる企業でも具体的な目標やロードマップの策定段階にあると説明。具体的な実行に進みづらい理由としては、全社的な方針や戦略の欠如、高コストな新エネルギーの調達といった財務的な影響の懸念、予算や人材などのリソース不足など、多様な課題がある指摘した。
ESSでは、(1)ビジョンと戦略の策定、(2)数値目標や実行計画の設定、(3)脱炭素化の実行、(4)実行結果の維持――の4つの段階で、エネルギー管理サービスの「EcoStruxure Resource Advisor」などの自社ツールも活用し、「供給」「効率化」「サステナビリティー」の3つの要素を特徴付けた包括的なコンサルティングサービスを提供していくという。
ESS事業の概要
加藤氏は主なサービス例を挙げ、「供給」では同社の専門家がベンダーと折衝し、サービス利用企業の使用実績や計画に即した契約条件(価格、期間など)での締結を支援するほか、「効率化」ではエネルギー消費状況の可視化、分析を通じたさまざまな省エネルギー化施策の提案、「サステナビリティー」ではサプライチェーン排出量(SCOPE)に基づく各段階(SCOPE 1~3)に即したレポーティングのサポートなどがあるとした。
海外でのESSは、顧客企業と中長期的な関係を構築してサービスを提供しているといい、加藤氏は、「日本でも多くのお客さまの脱炭素化をご支援していきたい」と表明。白幡氏は、既存事業においても環境への取り組みの重要性が増しているとして、ESSが単独の新規事業ではなく既存事業と組み合わせたシュナイダーエレクトリック全体で注力する基幹事業になると強調した。