富士通は4月23日、「富士通SX調査レポート2024」を発表した。同レポートは、15カ国の企業などの経営者層(CxO)600人を対象に実施したアンケートの結果をベースにしている。なお同調査では、事業成長とサステナビリティートランスフォーメーション(SX)を両立させている経営者層グループを「チェンジメーカー」と定義している。このグループは全体の11%を占める。
調査では、他組織とのデータ活用の状況について聞いている。これに対し「テクノロジーを用いて将来のシナリオの予測とシミュレーションを行い、ビジネス判断の水準を上げている」との回答が、「チェンジメーカー」では49%を占めた。具体的には、温室効果ガスの排出量削減に向けたデータ共有の重要性などが挙げられている。
また「サステナビリティーは今後5年間の最優先事項だ」と答えた経営者層は全体の70%で、前回調査時の57%から13ポイント増加した。一方で、サステナビリティー戦略を立てて「具体的な成果を実感できている」のは、全体の約4分の1(26%)にとどまった。
SXに関する経営者層意識の推移(2023~2024)
この調査は2023年11〜12月に実施された。調査方法は年間売上高5億ドル以上の企業・組織の経営者層(CxO)600人を対象に、アンケート方式で行われた。対象国は英国、オーストラリア、カナダ、韓国、シンガポール、スペイン、タイ、中国、ドイツ、ニュージーランド、日本、フィリピン、フィンランド、フランス、米国。業種は建設、銀行・金融、医療・ヘルスケア、製薬、製造、メディア、運輸、公共、流通・小売、技術・情報通信、資源・エネルギーの11業種。
なおSX推進の動機について、「チェンジメーカー」の60%が「社会にプラスの影響を与えること」、54%が「地球への影響を軽減すること」と回答した。このことから、「チェンジメーカー」は長期的な視点を持ち、社会と地球環境にプラスの影響をもたらしたいという考えていることが分かった。
さらに「チェンジメーカー」の25%が「自組織以外の企業などと非常に協力的なエコシステムを形成し、資源やデータの共有を可能にして共通の価値を創り出している」と回答している。
富士通では、調査結果から「チェンジメーカー」の傾向を分析し、同レポートの中で、「チェンジメーカー」になるための4つのステップを挙げている。
それらは(1)組織のパーパスを策定し、達成目標を明確にする、(2)SX戦略を策定し、目標の達成に向けた行動を推進する、(3)データ利活用の成熟度を上げる(社内組織間連携)、(4)組織の枠組みを超えてデータ活用のコラボレーションをする(社外組織との連携)――となっている。