データ分析のクラウド化を進めるテラデータ--ユーザーが望むのはマルチクラウド

三浦優子

2022-02-03 07:00

 企業でデータの重要性が高まる中、データ分析ツール市場にさまざまなベンダーが参入し、対応ソリューションを提供している。その1つとなるTeradataは、データウェアハウス(DWH)ベンダーとして長い歴史を持つが、マルチクラウド対応のDWHサービス「Teradata Vantage」の提供を開始して以降、急速にビジネスの軸足をクラウドサービスへシフトしている。2021年2月に同社の上級副社長に就任したBarry Russell氏は、クラウド事業の開発を担当し、クラウドへのシフトを推進している。ベンダー間の競争が激しくなるデータ分析ソリューション分野での同社のビジネスについて同氏に聞いた。

クラウドへの注力は顧客動向を反映したもの

--新規参入ベンダーが多いデータ分析ソリューション分野で、Teradataの強みはどこにありますか。

 確かにデータ分析は、ベンダーの競争が激しい分野になりました。新たなイノベーションのソリューションが投入され、急成長している分野です。その中でもTeradataは、「唯一のエンタープライズレベルのDWHベンダーである」と断言します。その理由は、まずわれわれの提供するTeradata Vantageがメガクラウドベンダーの大手3社(Amazon Web Services=AWS、Google Cloud Platform=GCP、Microsoft Azure)で利用できるクラウドデータプラットフォームだからです。

Teradata 上級副社長 クラウド事業開発担当ゼネラルマネージャーのBarry Russell氏
Teradata 上級副社長 クラウド事業開発担当ゼネラルマネージャーのBarry Russell氏

 そして、クラウドだけでなくオンプレミス、プライベートクラウドに置かれたデータの分析も可能です。異なるベンダーのクラウドサービス、さらにオンプレミス、プライベートクラウド間であっても、Teradata Vantageならシームレスにデータを活用できます。真のエンタープライズスケールのDWHは、われわれだと自負しています。

--TeradataはDWH領域では長い歴史を持ちます。しかし、クラウド対応はかなりのスピードで実現した印象があります。

 2020年に、最高経営責任者(CEO)としてSteve McMillanが就任し、クラウドへの注力をさらに強化しました。研究開発部門の予算の80%がクラウドへの投資です。社内の研究開発だけでなく、パートナー企業も含めてクラウド対応を進めています。

--古くからの顧客は、長年オンプレミスのDWHを利用してきたと思います。急速なクラウドへのシフトで顧客が戸惑いを感じることはないのでしょうか。

 お客さまと接する中で、古くからのお客さまからも、われわれがクラウドに注力することを歓迎する声が多いと感じています。なぜなら、多くのお客さまが数年をかけてオンプレミスからクラウドへのシフトを進めている最中だからです。お客さまが望んでいるからこそ、われわれはVantageの提供を決断しました。

--Russellさんは、クラウド事業の強化を担うために、Teradataに入社したのですね。

 はい。2021年2月に入社しました。以前からクラウドビジネスには携わっています。入社して最初に手がけたのは、メガクラウドベンダー各社と緊密な連携を図ることでした。プロダクト開発もその一環ですが、各社のお客さまが抱える共通した課題を共同で迅速に解決していく関係づくりが必要だと考えました。それができるようになれば、Teradataにとってもクラウドベンダーにとっても、課題を抱えるお客さまにとっても、大きなメリットとなります。

 具体的にAWSとは、共通のお客さまであるVolkswagen Groupの生産システムの改善に取り組み、クラウド生産システムを開発しています。われわれは、クラウドベースのデータとアナリティクスのソリューションを提供し、生産プロセスの最適化と工場の生産性向上の推進をサポートしています。AWSとわれわれが緊密に連携することで、Volkswagen Groupの生産性向上を迅速に進められるようになりました。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    セキュリティ担当者に贈る、従業員のリテラシーが測れる「情報セキュリティ理解度チェックテスト」

  2. セキュリティ

    従業員のセキュリティ教育の成功に役立つ「従業員教育ToDoリスト」10ステップ

  3. セキュリティ

    IoTデバイスや重要インフラを標的としたサイバー攻撃が増加、2023年下半期グローバル脅威レポート

  4. セキュリティ

    サイバー攻撃の“大規模感染”、調査でみえた2024年の脅威動向と課題解決策

  5. セキュリティ

    クラウドネイティブ開発の要”API”--調査に見る「懸念されるリスク」と「セキュリティ対応策」

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]