顧客は今日、通信サービスプロバイダーに関してかつてないほど多くの選択肢と、大きな発言力を手にしている。こういった顧客は通信サービスプロバイダーをコモディティーとして見なすようになってきており、業界は顧客を獲得、維持していくために新たな段階に踏み出していく必要があると学びつつある。
これは、Salesforceが最近公開した「2022 Trends in the Communications Industry」(通信業界の動向2022年版)レポートに記されている知見だ。同社は500人の業界リーダーと6000人の顧客を対象に調査を実施し、顧客の期待の変化や、業界の現状が変わっていく中で成功を手にする上で必要なことを知りたいと考えているプロバイダーに向けてこのレポートを作成した。
Salesforceの「2022 Trends in the Communications Industry」レポートでは、顧客にもたらすエクスペリエンスと価値の質が、顧客の維持において重要な要素になると示されている。
以下は同レポートの要点だ。
- 大半の顧客は、他の通信サービスへの変更を厭わない:われわれは、信頼できるエクスペリエンスに基づく経済下にあり、顧客の88%は、企業の提供するエクスペリエンスがその製品やサービスと同程度に重要だと答えている。また、同レポートの調査対象となった顧客のおよそ4分の3は、Googleのような非従来型のプロバイダーから無線サービス(78%)やケーブルサービス(76%)を入手するようになりそうだとしている。そして伝統的なケーブルサービスを契約している米国の家庭は、2023年までに半数を割り込むだろうと予想されている。同調査では、「ケーブルサービスを解約した」顧客のうち、33%は「Netflix」や「Hulu」「Amazon」のようなストリーミングサービスに乗り換えたと答えており、20%は5Gの家庭用インターネットを含む無線のみの接続サービスを自らの携帯機器を通じて入手するようになったと答えている。
- 顧客は、最適化されたオンラインチャネルや、充実した対面のエクスペリエンスを望んでいる:回答者の半数以上(51%)はオンライン上でのビジネスを望んでおり、64%は過去1カ月の間にプロバイダーのウェブサイトを利用したと答えている。しかし同じ調査期間内において、顧客の40%は店舗を訪れてもおり、35%はオンライン上と店舗の「双方」でのビジネスを望んでいると答えている。
- 顧客はあらゆるタッチポイントで優れたサービスを望んでいる:通信サービスのリーダーのほとんど(90%)は、顧客の要求を迅速に解決するために社内のコミュニケーションを円滑化することに同意、あるいは強く同意している。しかし、全体的な顧客満足度に十分な影響を与えるほどの取り組みにはなっていないようだ。顧客の40%近くは現在のプロバイダーに満足していない。また、無線サービスの顧客の50%と、ケーブルサービスの顧客の47%は、他のプロバイダーへの乗り換えを口に出した際に最高のサービスを受けられると考えている。通信サービスプロバイダーは、求婚中のエクスペリエンスよりも結婚後のエクスペリエンスの方が優れていなければならないということを肝に銘じなければならない。