この技術トレーニングプログラムを受講した人は16歳から62歳までの広い世代にわたっていると、Volatus Group GMのJeremy Edwards氏は語る。Volatusは、ドローンを捜索救難活動に組み込むために学習中の緊急救援隊員や、農作物への農薬散布ビジネスの開始を目指す起業家、その他の職業の人々に対してトレーニングを行っている。
「ドローン産業が登場した当初は、関係者を知らない限り、この産業に割って入ることはできなかった」とEdwards氏は語る。「それがこのクラスを開講した理由だ。軍隊に入りたくない、あるいは入れないなど何らかの理由がある人を(この産業に)参入させるためだ」
Volatus Groupはペンドルトンのブルー・マウンテン・コミュニティ・カレッジとも提携している。この学校は米国で初めて、UASプログラム向けのFAA認定を取得したカレッジの1つだ。Volatus Groupと同カレッジは現在、1年間の認定プログラムや、2年間のAA学位が取得できるカリキュラムを作成中だ。
「子どもたちの関わりが早すぎるということはない」とChrisman氏はRangeの最大の課題として採用活動を取り上げる。「チャンスが広がっていることを知ってもらいたい」
今後の課題
ペンドルトンのように都市部から遠く離れた地域では採用活動が大きな課題となるが、Rangeにはそれよりも重大な課題がある。Rangeは毎日、大型の実験用飛行マシンを空に飛ばすことによる危険と向き合っている。
Rangeで最も活発な顧客はAmazonだ。2018年以降、FAAへの報告義務のある重大な衝突事故は少なくとも11件発生した。これには、2022年の8月から12月の間に起こった1件のインシデントが含まれる。Northwest News NetworkとOregon Public Broadcastingの報道によると、それらのインシデントのほぼすべてにAmazonの配送ドローンが関わっており、そのうち1件の衝突により山火事が発生して約25エーカー(約10万1175平方m)が焼失した。
RangeのマネージャーであるAbling氏は特定のインシデントについてのコメントは控えるとした。
そのうえで、次のように語っている。「危険は常にある。今後大きな事柄が発生する可能性も必ずある。発生してほしくないが、われわれが行っている事業は非常に多く、統計的に考えればいつかは必ず発生する」
Rangeは包括的な飛行準備確認審査プロセスを整備している。
「利用者は、ただここに来てドローンを飛ばすだけではない」(Chrisman氏)
ドローンが衝突したとき、事業者はその事故の再発防止に努めるために、根本原因の是正措置分析を提出しなければならない。
それと同時に、空港では格納庫のほかにも新規ドローン顧客向けの建設を進めており、第2次世界大戦期の古い兵舎を訓練中の消防士用の生活スペースへと転換している。もしまた火事が発生したら、迅速に対応されるだろう。
ドローンはちょっとした山火事を起こしたが、ペンドルトンは現在も実際のドローン市場が燃え立つのを待っている。Abling氏は、この業界が離陸するのは、ドローンが既存の航空機統制システムの下、領空内に完全に統合されたときだという。そのためには革新者が最善の「感知して回避する」技術、すなわち飛行する鳥や飛行機などを感知するための最適な手法を究明する必要がある。
「誰もがそのためにさまざまな方法を試している」とAbling氏は語る。「センサーフュージョン、光学システム、レーダーシステム、レーザーシステムなどがある。最終的に、FAAが採用するような規格が現れるだろうと考えている」
「感知して回避する」技術と並行して、UAS業界は今もなお、操作者の目線外にドローンを飛ばせることを証明する必要がある。
「これは業界の誰もが解決しようとしている難しい問題で、100万ドルにも値する」と、Spright試験飛行マネージャーのConnerly氏は語る。「これを実現するには、規制当局に対して技術の成熟状態を実証する必要がある」
大規模なドローンの商用化が起こるのは、企業がドローンに何を搭載するのかを創造的に考え始めたときだと、Volatus GroupのEdwards氏は語る。精密農業のためのLiDARや、あるいは石油ガス産業向けの特殊カメラなども考えられる。
この業界が成功に向けて実際に飛び立てば、「夢にあふれた荒々しい世界になるだろう」とChrisman氏は語る。「われわれはまだ、キティホークの海岸には達していないが、そこに至るまでそう遠くない。特に商業市場をこじ開けようとするときは、何度も行き帰りするものだ。われわれはいつも、これは夢ではないかと自分をつねっている。今は、サイエンスフィクションの映画の中にいるような感覚だ」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。