イオンネクスト(千葉市)は4月4日、イオンのオンラインマーケット事業として「Green Beans(グリーンビーンズ)」を立ち上げ、2023年夏にサービスを開始すると発表した。同日に行われた発表会では、イオン 取締役 代表執行役社長の吉田昭夫氏とイオンネクスト 代表取締役社長のBharat Rupani(バラット・ルパーニ)氏が登壇し、サービスの詳細を説明した。
グリーンビーンズは、新鮮な食料品や日用品などをいつでも購入でき、購入者の希望日時に合わせて商品を届けるオンラインマーケット。2019年11月にイオンと提携した英国のテクノロジー企業Ocadoの子会社であるOcado Solutionsと共に、最新のデジタル技術と機能を活用した購買体験を提供する。
イオン 取締役 代表執行役社長 吉田昭夫氏
吉田氏はサービス提供の背景に、日本における「食」のオンライン比率の遅れを挙げた。「2025年以降は労働人口の半分がデジタルネイティブ世代となり、消費の中心になっていく。日本の消費支出に占める食の割合は30%、約90兆円と大きな市場である一方、米国や中国などの諸外国と比べるとオンラインへの移行は遅れている。われわれはオンラインチャネルのマーケットを食の分野でアプローチし、強化していくことが大きな事業機会になると考えている」と述べた。
グリーンビーンズの提供エリアは今後1年をめどに東京23区全域をカバーする。これは、現在イオングループの既存店舗出荷型のネットスーパーでは実店舗のある範囲でしかサービスの提供ができないため、今回のサービスでは同グループの実店舗が少ない首都圏、特に東京23区全域をカバーするためだという。
同サービスの物流拠点は、AIとロボティクス機能を導入する顧客フルフィルメントセンター(CFC)。店舗出荷型の人手に頼るピッキングではなく、自動ロボットを活用することで、6分で50個以上の商品を集められるという。これは店舗でのピッキングと比べて10倍の効率化になる。また、AIを活用した売上予測と在庫管理による低い欠品率を目指すとしている。
イオンネクスト 代表取締役社長 Bharat Rupani氏
Rupani氏は、日本の顧客が鮮度に高い関心を持っていることを踏まえ、温度管理を徹底したコールドチェーンを構築し高い鮮度管理を行うと説明。さらに、グリーンビーンズの独自ラッピング技術で産地から手元に届くまでの温度を管理し、1週間以内は鮮度を保つことを保証する「鮮度+(せんどプラス)」を提供する。
同サービスの特徴としては、パーソナライズされた購買体験ができることだという。過去の購入履歴に基づきAIが顧客のニーズに合った商品をクリックでカートインする「スマートカート機能」の搭載や、お気に入りレシピから必要な商品を選べる機能などを搭載している。また、家族構成や生活スタイルに合わせたまとめ買いのニーズに対し、1週間分の買い物ができる大容量商品もそろえているという。
スマートカート機能のサンプル画像
同社は、オンラインデリバリーにおいて唯一の顧客接点となるのは、商品を手渡しする場面になるため、接客にも注力したいという。そのために注文から配送まで自社によるラストワンマイルの実施に向けて、イオンネクストデリバリーを設立した。
AIによる最適なルート提案により、7~23時まで1時間ごとの配送枠を設定。これにより、顧客の多様なライフスタイルに対応可能としている。さらに、接客と品質管理の教育を受けた自社の専任スタッフにより、丁寧な配送を心がけていくという。
グリーンビーンズのバン
グリーンビーンズに込めた思いをRupani氏は以下のように述べた。
「緑は新鮮、健康、再生、平和を意味する。また、豆は豊かさと幸せの象徴で、この2つのワードを組み合わせた。このブランドは、豊富な品ぞろえ、新鮮で健康的な商品、そしてフレンドリーなサービスをお客さまに提供し、お客さまに豊かな時間を提供したい」
また同氏は続けて、「このサービスを利用することで、顧客にとっての買い物を『短く・ラク』になることを超えて、『楽しく充実した時間』へと変化させたい。私たちは、日本の将来を担う多忙な若い家族を支援することで社会へのプラスの貢献を目指している」と意気込みを語った。