日立、ジョブ型インターンシップを強化--希望職種の「本当のところ」見定める

大場みのり (編集部)

2023-07-20 19:23

 日立製作所(日立)は7月20日、同社が2021年度から実施している「ジョブ型インターンシップ」について説明会を開催し、同インターンシップを経験して内々定を獲得した学生も登壇した。日立のジョブ型インターンシップでは、ジョブディスクリプション(職務記述書)を明示した上で職種ごとに実践的なカリキュラムを提供しており、2023年度は規模を拡大して8月下旬から行う。

日立 人財統括本部 人事労務本部 タレントアクイジション部 部長代理の大河原久治氏
日立 人財統括本部 人事労務本部 タレントアクイジション部 部長代理の大河原久治氏

 同インターンシップ実施の背景には、社会の変化や同社における経営戦略の転換がある。近年、学生や新入社員の間では「希望する勤務地や職種に配属されるか分からない」という不安を示す「配属ガチャ」という言葉が一般化している。

 Z世代に当たる新社会人のキャリア観は、企業に重きを置く「就社」ではなく、職種に重きを置く「就職」へと変化しており、自分の特性と希望職種のマッチングを早い段階で確かめようとする傾向が強まっているという。人財統括本部 人事労務本部 タレントアクイジション部 部長代理の大河原久治氏は「配属ガチャは、自律的なキャリアを志向する優秀な若手人材を獲得する上で課題となっている」と述べた。

 日立は「入社後のミスマッチ」解消に向けて、(1)入社前、希望する職種や働く環境のイメージがつかめるジョブ型インターンシップの実施、(2)入社後、思い描いていた仕事ができる職種別採用をはじめとしたジョブ型採用――を行っている。

 インターンシップに関する政府のルール変更も追い風となっている。2022年6月の三省合意(文部科学省・厚生労働省・経済産業省)の改正に伴い、一定の条件を満たしたインターンシップでは、取得した学生情報を採用活動に活用することが可能となった。現在の大学3年生(2025年卒業見込み)から対象となる。

 加えて同社は、従来の国内中心・製品事業から、世界各国・データを活用したサービス事業への転換を図っており、それに対応した体制として「ジョブ型人材マネジメント」を推進している。2023年度の採用計画では、新卒と経験者の比率を1対1とし、ジョブ型での採用比率は全体の95%としている。

 こうした背景のもと日立は、これまで行っていた多様な形態のインターンシップを4種類に分類(図1)。そのうち、長期間にわたって就業体験ができる「汎用的能力・専門活用型」「高度専門型」を「インターンシップ」とし、これらに参加した学生が本選考に応募した際は「ジョブへの理解度や強み/弱み」といった情報を採用担当者が参考にするという。

図1:日立が行ってきたインターンシップの分類 図1:日立が行ってきたインターンシップの分類
※クリックすると拡大画像が見られます

 「評価項目の詳細はジョブによって異なるが、例えばデジタル事業の場合、『お客さまのニーズをどのように捉え、当社の技術を用いてどのように解決することを考えているか』といった点を見る。当然社員のサポートはあるものの、提案に至るまでの主体性を記録する」と大河原氏は説明した。

 同社は夏季の8~9月と冬季の1~2月、ジョブ型インターンシップを実施する。そこでの評価は文章で定性的に記録し、参加した学生が本選考に応募した場合は、採用担当者がシステム上で参照できるようにする。

 先述した通り、日立は2021年度からジョブ型インターンシップを実施している。学生側は「希望する職種/事業で自分の専門性や経験が生かせるかを確かめたい」、日立側は「各職種/事業について、理解を深めてほしい」など、一般的なインターンシップと比べて双方が明確な目的を持っているという。

 大河原氏は、ジョブ型インターンシップを実施して変わった点として「インターンシップ用ジョブディスクリプションの明示」「社員との1on1のコミュニケーション強化」などを挙げた。ジョブ型インターンシップの実施人数は、一部部門で試験導入していた2020年度(2022年卒)の130人から、2022年度(2024年卒)には600人に増加。その結果、同インターンシップ経験者の採用人数は、2020年度が600人中40人だったのに対し、2022年は内々定している600人中140人と3.5倍になった。

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