Cloud Operator Days Tokyo 2023実行委員会は7月20日、8月21日から開催するクラウド環境の運用をテーマにしたカンファレンス「Cloud Operator Days Tokyo 2023」の実施概要を発表した。自動化や監視、セキュリティなど約50のセッションを企画し、オンライン配信とリアル会場の2部構成で行う。
Cloud Operator Days Tokyoは、ベンダーニュートラルなコミュニティー主体のカンファレンスとして2020年にスタートし、初回は約1400人が参加。前回2022年は2200人以上と拡大している。前身はオープンソースのクラウド基盤ソフトウェア「OpenStack」を中心とする「OpenStack Days Tokyo」として2013~2019年に実施されていた。
日本OpenStackユーザ会 会長の水野伸太郎氏
2023年は、「運用の新時代~ Effortless Operation ~」をテーマに、約2週間のオンデマンド配信と、9月14日限定のオフラインによるクロージングイベントの2部構成になる。開催概要を説明した日本OpenStackユーザ会 会長の水野伸太郎氏(NTT)によると、セッションテーマでは「運用自動化」と「監視・ログ・オブザーバビリティ」が多く、公募セッションの概要から抽出したキーワードの傾向では、従来に見られなかった「セキュリティ」や「AWS(Amazon Web Services)」が急浮上しているとした。
「Cloud Operator Days Tokyo 2023」のセッション内容から浮上したキーワードの傾向
7月20日時点で予定しているセッションは49件となる。セッションテーマは「運用苦労話」「運用自動化」「監視・ログ・オブザーバビリティ」「OpenStack」「コスト管理」「パブリッククラウド運用」の6つで、水野氏が各テーマの注目セッションを紹介した。
セッション数が15件と最多の「運用自動化」では、スリーシェイクがサイト信頼性エンジニアリング(SRE)とプラットフォームエンジニアリングの違いを解説するほか、スクウェア・エニックスが多数の仮想マシンを運用する環境での効率化の取り組みを紹介するという。また、NTTグループ企業が4セッション、自動車部品製造大手のデンソーも3セッションで講演する。
「監視・ログ・オブザーバビリティ」(10セッション)では、ジェーシービーが「PCI DSS」(クレジットカード業界のセキュリティ標準)に準拠したクラウド環境でのオブザーバビリティーの取り組みを説明するほか、セブン銀行がクラウド環境へ全面導入した異常検知の仕組みにおける体験を語る。「パブリッククラウド運用」は全10セッションのうち半分がセキュリティや権限管理となっており、クラウド環境のセキュリティリスクに対する関心の高さを示す状況にある。
「運用苦労話」(9セッション)では、ヤフーがシステムアーキテクチャーの刷新における苦労話を紹介するほか、GMOペパボは「Google Kubernetes Engine」(GKE)とプライベートクラウドを組み合わせた環境構築の事例を解説するという。同イベントの原点となる「OpenStack」では4セッションあり、LINEがOpenStackの習熟から運用までの取り組みを英語で講演する。また、 Open Infrastructure Foundationが「LOKI」と呼ばれるLinux、OpenStack、Kubernetesで構成するインフラ環境を紹介する。「コスト管理」(1セッション)では、NTT東日本がAWS環境での開発で肥大化したコストとリソース管理負担の軽減に向けた取り組みを紹介するという。
セッションテーマと実施予定のセッション数
クロージングイベントは、9月14日に東京・お台場の「docomo R&D OPEN LAB ODAIBA」で開催され、ぐるなびにおけるAIOpsの取り組みや、Open Infrastructure Foundationによる基調講演などが実施される。