竹富町(沖縄県石垣市)は、統合型セキュリティプラットフォーム「A10 Thunder CFW」を採用した。「Microsoft 365」や「Salesforce」などのクラウドサービスを利用し、住民サービスや職員のワークスタイルの向上を目指す。A10ネットワークス(A10)が1月9日に発表した。
同町ではこれまで、ファイルのアップロードやダウンロードを自席PCで行えなかった。そのため、各課が1台共有しているインターネット接続系PCまでUSBメモリーによる「スニーカーネットワーク」で対応していた。この環境では、仮想化基盤を使用する業務では1日当たり2時間30分程度かかることもあったが、A10 Thunder CFWの導入後は30〜60分程度へと大幅に短縮できる見込みだ。テスト段階でも多くの職員が業務時間を3〜5割ほど短縮できたと回答している。
同町は2024年度内にA10 Thunder CFWの構築完了を目指している。これにより、約200人の庁舎勤務職員がLGWAN接続系からローカルブレイクアウトしたMicrosoft 365や各種SaaSを利用できるようになる。またローカルブレイクアウト環境の構築およびMicrosoft 365の導入によって、出張先でも庁舎勤務とほぼ変わらない操作性や快適性が実現する。
竹富町のネットワーク構成図
9つの有人離島で構成される竹富町は、町外の石垣市に庁舎を構えている。そのため各離島の町民に対してより良い住民サービスを提供するとともに、船での往来や地域行事に参加することの多い職員が、効率的に業務を遂行できる環境を求めていた。
首長や防災本部は石垣島にあり、出張機関も2つの有人離島にしかない。そこで有事や自然災害が発生した際に各離島へ派遣した職員が滞りなく業務を遂行できるよう、リモートワーク環境を整備する必要があった。システム面でも「自治体情報システム強靭性向上モデル」のαモデルからβモデルへの移行についても検討したが、セキュリティやリテラシーの観点からハードルが高く、採用には至らなかった。
こうしたことから、αモデルのLGWAN端末系からローカルブレイクアウトでのクラウドサービス利用を目指すこととなり、今回の導入に至った。