広島市は、庁内業務効率化のための基盤ツールにローコード開発ツール「Claris FileMaker」を導入し、本格利用を始めている。Claris Internationalが5月28日に発表した。
同市では、デジタル化の推進によって紙の書類や手作業による事務から脱却し、庁内業務を効率化する取り組みを進めている。その一環として、2023年度からFileMakerを用いた業務システムの開発をClarisと共同で検証してきた。
具体的には、健康福祉局 保護自立支援課とこども未来局 こども青少年支援部の2業務を対象にFileMakerで業務システムのプロトタイプを作成し、効果の検証を行った。それによると、FileMakerの開発スピードや柔軟性などが高く評価されたほか、試験運用でも現場業務での改善効果が認められ、正式な導入が決定した。
健康福祉局 保護自立支援課は、進行管理を従来の表計算ソフトから新たにFileMakerで開発した査察指導台帳システムに移行。新システムには基幹システム(福祉情報システム)から日次でデータが取り込まれ、検索や更新、帳票作成など日々の進行管理が行えるようにした。
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マイナンバー利用事務系で運用される同システムでは、データは暗号化されるほかユーザーごとのアクセス管理も可能なため、表計算ソフトでは難しかった情報の一元管理が可能となった。管理方法が標準化されたことで、査察指導員の経験に関わらず一定レベルの査察指導が可能となったほか、集計や引き継ぎなどで発生していた煩雑な事務作業が解消され、業務効率化につながったという。また、FileMakerでは福祉情報システムで扱いのない項目も自由に追加・編集でき、現場の業務プロセスに沿ったシステムの構築を可能にした。
導入後も職員が自らシステム利用者の要望に応じて内製で機能追加するなど、ローコード開発ツールとしての特徴を生かした運用が進んでいる。今後は利用対象者をケースワーカーにも拡大し、さらなる効率化を図る予定とのこと。
こども未来局 こども青少年支援部は、紙や表計算ソフトによる受付簿を廃止し、新しくFileMakerで開発された児童扶養手当管理システムで進行管理を実施。庁内ネットワークにある「FileMaker Server」で一元的に管理することで区や本庁の担当者は常に最新の処理状況を共有し、スムーズで素早い業務遂行が可能となった。
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広島市では、今回の取り組みと成果を庁内の他部署へ展開し、さらなる課題解決や業務効率化を実現するため、庁内でのFileMaker講習会などをはじめとした取り組みを進めていく予定としている。