広島市、庁内業務の効率化に「Claris FileMaker」を導入

ZDNET Japan Staff

2024-05-28 10:15

 広島市は、庁内業務効率化のための基盤ツールにローコード開発ツール「Claris FileMaker」を導入し、本格利用を始めている。Claris Internationalが5月28日に発表した。

 同市では、デジタル化の推進によって紙の書類や手作業による事務から脱却し、庁内業務を効率化する取り組みを進めている。その一環として、2023年度からFileMakerを用いた業務システムの開発をClarisと共同で検証してきた。

 具体的には、健康福祉局 保護自立支援課とこども未来局 こども青少年支援部の2業務を対象にFileMakerで業務システムのプロトタイプを作成し、効果の検証を行った。それによると、FileMakerの開発スピードや柔軟性などが高く評価されたほか、試験運用でも現場業務での改善効果が認められ、正式な導入が決定した。

 健康福祉局 保護自立支援課は、進行管理を従来の表計算ソフトから新たにFileMakerで開発した査察指導台帳システムに移行。新システムには基幹システム(福祉情報システム)から日次でデータが取り込まれ、検索や更新、帳票作成など日々の進行管理が行えるようにした。

健康福祉局 保護自立支援課の取り組み 健康福祉局 保護自立支援課の取り組み
※クリックすると拡大画像が見られます

 マイナンバー利用事務系で運用される同システムでは、データは暗号化されるほかユーザーごとのアクセス管理も可能なため、表計算ソフトでは難しかった情報の一元管理が可能となった。管理方法が標準化されたことで、査察指導員の経験に関わらず一定レベルの査察指導が可能となったほか、集計や引き継ぎなどで発生していた煩雑な事務作業が解消され、業務効率化につながったという。また、FileMakerでは福祉情報システムで扱いのない項目も自由に追加・編集でき、現場の業務プロセスに沿ったシステムの構築を可能にした。

 導入後も職員が自らシステム利用者の要望に応じて内製で機能追加するなど、ローコード開発ツールとしての特徴を生かした運用が進んでいる。今後は利用対象者をケースワーカーにも拡大し、さらなる効率化を図る予定とのこと。

 こども未来局 こども青少年支援部は、紙や表計算ソフトによる受付簿を廃止し、新しくFileMakerで開発された児童扶養手当管理システムで進行管理を実施。庁内ネットワークにある「FileMaker Server」で一元的に管理することで区や本庁の担当者は常に最新の処理状況を共有し、スムーズで素早い業務遂行が可能となった。

こども未来局 こども青少年支援部の取り組み こども未来局 こども青少年支援部の取り組み
※クリックすると拡大画像が見られます

 広島市では、今回の取り組みと成果を庁内の他部署へ展開し、さらなる課題解決や業務効率化を実現するため、庁内でのFileMaker講習会などをはじめとした取り組みを進めていく予定としている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  2. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  3. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]