トランスフォーメーションの破壊者:インテントAI

インテントAIで変わるBtoBマーケティングの未来とABMの進化

松永 エリック・匡史

2025-04-02 06:00

ABMの歴史は精密ターゲティングの始まり

 アカウントベースドマーケティング(ABM)は、1990年代に、法人顧客とのビジネス(BtoB)マーケティングの戦略として登場しました。ABMは、従来のマスマーケティングとは異なり、当初には特定の企業(アカウント)に焦点を当て、個別のマーケティング施策を展開するアプローチとして確立され、ターゲットアカウントに対してカスタマイズされたメッセージを送ることにより、高い投資利益率(ROI)を実現できる手法として注目を集めました。

 このマーケティング手法は、「精密ターゲティング」(ハイパープレシジョンターゲティング)と呼ばれ、ターゲット層に最適な広告やプロモーションを届ける手法の幕開けとなりました。精密ターゲティングにより、広告のクリック率やコンバージョン(成約)率が向上し、顧客のリエンゲージメントにも貢献し、エンゲージメントや生涯価値を高め、マーケティングの効率化が可能になります。

 2000年代に入ると、顧客関係管理(CRM)システムやマーケティングオートメーション(MA)ツールの進化により、ABMはさらに洗練されていきます。企業は顧客データを統合し、よりパーソナライズされたアプローチを採用することが可能になっていくのです。

 ただし、実際には、理想とは裏腹にパッケージ化されたCRMでは、多額なコンサルタントのサポートが必要だったり、パッケージの制約から個別企業のニーズに対応することが容易ではなく、時にはスクラッチの開発で高額な開発費用が発生したり、結果として多くの手動プロセスが伴うこととなってしまったりと、大規模展開は至難の技でした。

データ駆動型のマーケティングへの移行と課題

 現在、ABMは、デジタル技術の進歩とともに、より高度なターゲティングが可能となっています。AIとビッグデータ解析の活用により、企業は潜在的な顧客の購買意向を示すインテントデータを把握し、より精密なアプローチができるようになりました。一方で、さらに先のABMを見据えた時に幾つかの課題があります。

  1. データの一貫性と統合の難しさ:多くの企業が異なるデータソースを活用しており、システム間のデータ統合が困難
  2. リアルタイムなターゲティングの難易度:購買意欲が変動するB2B市場では、ターゲティングのタイミングが重要だが、それを正確に把握するのは容易ではないこと
  3. スケールの問題:ABMはリソースを多く必要とするため、大企業向けの戦略とされることが多く中小企業での活用が未開拓

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