Vistaでは「ImageX」と呼ばれる機能がひな型となるPCのイメージをキャプチャ、そのイメージをサーバに格納して「Business Desktop Deployment」(BDD)と呼ばれるツールで標準化されたデスクトップ環境を配布・展開することができるようになっている。永妻氏によれば「BDDは現行のXPでもりようできるが、VistaのリリースにあわせてVista用にバージョンアップされたものが提供される予定」となっているという。

Windows VistaがセットアップされたPCにおいて、「Business Desktop Deployment」を利用して配布するWindows Vistaのイメージを作成する画面

Windows本部ビジネスWindows製品部でマネージャを務める中川哲氏は、現在企業の情報システムには「システムインフラと運用管理モデルの単純化、複雑さの排除によるコスト削減、セキュリティの向上が求められている」と説明。エンドユーザーが使うクライアントPCでも「展開、運用、管理のコストを下げながらセキュリティを高める」(中川氏)ことが求められているのである。
「エンドユーザーの生産性を向上させながら、効率のいい運用管理をすることが求められている。つまり、ハンドリングしやすいシステムはセキュリティが堅牢でなければいけないといったことが求められている」(中川氏)

マイクロソフトが今回のVistaの企業向け機能として、(1)多層化されたセキュリティ対策、(2)デスクトップ展開プロセスの標準化――という2つをデモンストレーションしたのは、現在企業が求めているデスクトップに対する要件をVistaが満たすものであることを強調するためだ。
また中川氏は、デモンストレーションの中で企業におけるシステム基盤の最適化は段階的に行われていることを説明している。その段階とは(1)基本、(2)標準化、(3)合理化、(4)動的――という4つの段階である。
(1)の「基本」とは、情報システム基盤の運用管理モデルが未整備、あるいは自動化されていない状態であり、(2)の「標準化」とは、情報システム基盤が部分的に自動化されている状況である。(3)の「合理化」の段階は、情報システム基盤が最大限の自動化技術を駆使したものであり、(4)の「動的」は、情報システム基盤を完全に自動管理することで動的にリソース活用ができ、これらによってもたらされるサービスレベルが高い状態にあることを指す。
情報システム基盤は、基本の段階では「コストセンター」、標準化では「より効率的なコストセンター」、合理化の状態では「効果的なビジネス推進」、最後の動的の段階では「戦略的な資産」になると、中川氏は語る。
中川氏は、「これらの段階、基本から標準化へ、標準化から合理化へ、合理化から動的へ、企業の情報システム基盤がスムーズにレベルアップするのをVistaは手伝うことができる」と語り、Vistaが情報システムにとってメリットをもたらすことを強調している。