OracleのSOAへの取り組み
Oracleは、データベースビジネスだけでなく、ERPソフトを提供するPeopleSoftやSiebel Systemsを相次いで買収し、垂直統合化を進めてきた。既存のデータベースのリプレースや新規投資案件への提案だけでなく、SOA時代による既存資産との融合を意識せざるを得なくなってきたOracleは、SOAをビジネス戦略の柱と考えている。統合ツールとしては、Oracle製品同士を統合するツールのみならず、DB2やSybaseを使ったシステムを統合するためのツールも提供している。
SOA向けのプラットフォームとしては、Webサービスを通じて画面上でのドラッグアンドドロップだけでシステム同士の統合を実現する「Oracle Service-Oriented Architecture Suite」(Oracle SOA Suite)が提供されている。これは、SOA実現に向けたサービスの作成や管理ができる、サービス基盤のコンポーネントセットだ。
Oracle SOA Suiteは、いくつかのOracle独自の技術で構成されている。そのひとつである「Oracle JDeveloper 10g」は、アプリケーションの作成、構成のための包括的な統合SOA開発環境で、基盤となるものだ。また、2004年のCollaxaの買収によって手に入れたBPEL(Business Process Execution Language)の実行環境「Oracle BPEL Process Manager」は、Webサービスとの協調を可能にした最初のネイティブBPELエンジンで、ビジネスプロセスの設計、定義、実行が可能だ。
Oracleの主席ソリューションアーキテクトClemens Utsching氏は、同社デモブースにて「サポートされているミドルウェア、プラットフォームとしては、Oracle Fusion Middlewareのみならず、IBM WebSphere、BEA WebLogic、JBoss Application Serverなど、他社のミドルウェアプラットフォームとも幅広く互換性があり、適用範囲が大きい」と盛んにアピールしていた。
またOracleは、オブジェクトの永続化機能を提供するAPIであるJava Persistence APIへの参照実装例をオープンソースで公開するとしている。Javaとオープンソースコミュニティにオブジェクト関連マッピングと専門知識を与えることで、開発者がエンタープライズアプリケーションを容易に開発できることを狙っており、Javaのオープンソース化に積極的に対応している。
IBMは「SOAを使って勝つために革新する」
IBMでは、ブースのテーマを「Innovate to Win with SOA」として、SOAを前面に押し出した展示を行っていた。統合技術に強いIBMにとって、SOAの展開は大きなビジネスチャンスとなる。
従来より同社は、ウェブ環境構築のためのプラットフォーム製品群「WebSphere」などによりSOAへの取組みは積極的だったが、今回はJavaとの関連を強調していた。
そもそもIBMは、JavaコミュニティにおいてJava EEの標準化作業の80%を担ってきており、Sunに対してもJavaのオープンソース化を強く要請してきた。今後のSunのオープンソース化の動きに対して、IBMはその恩恵を受ける1社となる。