Oracle OpenWorld開幕--秋晴れのサンフランシスコに「アンブレラ戦略」を広げたオラクル - (page 2)

山下竜大(編集部)

2006-10-23 21:05

 アンブレラ戦略は、傘が「柄」「骨」、そして「傘布」で構成されているように、柄の部分となるデータベースを中核に、ミドルウェアを骨のように広げ、そこに傘布としてのアプリケーションを広げていくことで、Oracleの製品スタックを完璧にしていくというもの。3つの分野の製品を強化、拡張していくのはもちろん、3つの分野に足りない機能を企業の買収により埋めていくことが重要になる。

 特に、アプリケーション分野の強化には、多くの労力を費やしており、Phillips氏就任から1年半をかけたPeopleSoftの買収以降、SiebelやRetekなどのアプリケーションベンダーを中心に、すでに25社を買収している。

Charles Phillips氏 「インフラからアプリケーションまでサポートできないベンダーは生き残れない」と、Oracle社長のCharles Phillips氏。

 「(アンブレラ戦略では)自社製品を拡張していくのはもちろん、買収した技術を自社の技術スタックに組み込んでいくことで足りない機能を補っていく。技術スタックは、アプリケーションがあるから効果的になり、アプリケーションは技術スタックがあるからより良好になる。お互いに良い面を引き出しながら進化を続けていくことができる」(Phillips氏)

 また、買収した技術を、ただ新しいものに進化させていくだけではなく、既存の製品についてもバージョンアップを続けていく。Phillips氏は、「ビジネスが変化していくのにアプリケーションが対応できないのは不幸なことだ。我々は、ユーザーの痛みを解消する手だても考えている」と話す。

 Oracleでは2006年6月に、Application Unlimitedと呼ばれる取り組みを発表しており、Oracle E-Business Suiteはもちろん、PeopleSoft、JD Edwards、Siebelなど、すべての製品について次期バージョンをリリースし、その後もユーザーの要望があれば無制限にサポートしていくことを約束している。

 このような戦略を推進していく背景にあるのは、ニッチベンダーからの脱却という考えだ。Phillips氏は、「今後は、インフラからアプリケーションまでサポートできないベンダーは生き残れないだろう。IBMはテクノロジは持っているがアプリケーションを持っていない。SAPはアプリケーションは持っているがデータベースを持っていない。我々は、最も良いポジションにいる」と講演を締めくくった。

 データベース、ミドルウェア、アプリケーションのそれぞれの分野における詳しい戦略については、明日以降のカンファレンスで明らかにされる予定だ。

OOW会場 約7000人が収容できるOOW 2006のキーノート会場は、人、人、人で埋め尽くされた。

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