モイネットがファーミーに組み込むDBとしてFirebirdを選択したのは、システム価格を安価に抑えるためであるとともに、DBの堅牢性と信頼性があったから、と説明している。「レセコンのシステム停止は調剤薬局にとって致命的な打撃になる」(モイネット)からだ。
実際、モイネットは「ファーミーのDBにFirebirdを選定したのは正解」と話す。システムを低価格にできたことに加えて、「これまでにデータの不具合はないし、DBが壊れたということもなく、ユーザーの満足度は非常に高い」という。
しかし、モイネットではFirebirdの問題点として「日本語のユーティリティツールが存在しない」ことを挙げている。そうした同社では自ら、蓄積されたDBのレコードなどを閲覧するためのユーティリティツールを開発して、ファーミーの使いやすさを向上させることに成功しているというエピソードを明らかにしている。
本格的にトランザクションを使えるのが便利
(3)のOPEN ADMIN/OPEN STMは、ケーブルテレビ(CATV)事業者向けに、ネットワークの状況などを一元的に監視するためのシステムだ。OPEN ADMINは、CATV加入者の宅内に置かれるモデムやセットトップボックス(STB)などの端末のアドレス情報や状態の情報を、ネットワーク機器の監視・制御するためのプロトコルである「SNMP」で自動収集するというシステムになる。
同システムは、CRMなどほかのシステムと統合することで、CATV事業者の業務効率を向上させ、また障害が起きた際の対応を迅速化させることができることから、顧客満足度を向上させることもできるという。
もう一つのOPEN STMは、加入社宅内の双方向端末を、高速・並列にSNMPポーリングを実行して、伝送路情報との統合で障害個所と原因を自動的に判定するというシステムである。両システムはともに、加入者宅内に置かれてある端末1万台を、1台のサーバで5分ごとに情報を収集しているという。
この2つのシステムを開発するオーエスエスブロードネットがFirebirdを採用するに至ったのは、まず「Oracleではコスト高になり、システム単価が採算に合わない」ことがあったという。またシステム開発を開始した2000年当時、日本で人気のあるPostgreSQLでは24時間・7日での運用に不安があったことから、まずはInterBaseを採用。その後でInterBaseで問題が多いことから、Firebirdに移行したという。
同社ではFirebirdの利点として「安価なx86サーバ、Linuxで動作すること」を挙げている。またJava向けのJCA-JDBCドライバである「jaybird」の開発が活発であることもFirebirdの利点としている。さらに、Firebirdは「本格的にトランザクションを使えるのが便利」(オーエスエスブロードネット)とも説明している。
ただ同社では、Firebirdの欠点として、パフォーマンスチューニングの余地が少なく、性能面に限界があるということを指摘している。また、「コネクションやステートメント、結果セットを明示的にクローズしないとDBが壊れる場合があるなど、細かい部分が必ずしも開発者に優しくない」とも指摘している。