社内コミュニケーションの風通しを変える企業向けIM - (page 3)

林信行

2007-04-25 08:00

 だが、その一方でインスタントメッセンジャーでも十分間に合う話し合いもある。例えば海外や地方拠点にいる社員の見識も加えたい場合などだ。ある程度のコンセンサスができあがっている上で、意思決定だけを確認したい場合にも使える。

 インスタントメッセンジャーでの会議は、会話のログという形で正確な議事録を残すことが可能で、しかもそのログを社内ブログなどで共有すれば、疑問が浮かびやすい細かな部分に関するやりとりまで完全に共有し、検索可能となる点が大きな強みだ。

増えつつあるEnterprise Instant Messeging

 それでは、こうした企業でのインスタントメッセージングには、どのようなシステムを使えばいいのだろう。

 最初から企業向けにつくられたEnterprise Instant Messnger(EIM)というジャンルの製品もある。マイクロソフトが提供するMicrosoft Office Communicator 2005をはじめ、ユミルリンクの「CoolMessenger」、Qriptの「Yocto」などがよく知られている。これらの製品では、情報漏えいに備えて高度な暗号化セキュリティを採用する一方で、メッセンジャーソフトの不正利用を防ぐログの監視機能や、携帯電話への対応といった特徴がある。

主要EIMソフトの機能比較
複数人数での
テキストチャット
音声/ビデオ
チャット
ファイル転送 携帯電話から
の利用
その他の
主な特徴
Office
Communicator
2005
Microsoft 1:1 Windows Mobile搭載のスマートフォン PBXを使って社内電話とも連携
CoolMessenger ユミルリンク × × サーバへの加重負荷を防ぐP2P通信を採用
Yocto Qript × au、NTT DoCoMo、Softbank オフラインメッセージ受信

 一方で、既に導入しているシステムに機能が組み込まれていることもある。最近では多くのバックエンドサーバやグループウェア、SaaS(Software as a Service)に、Jabberというプロトコルを使ったインスタントメッセージング機能が組み込まれている。

 社員の使い勝手や他社とのやりとりも視野に入れるなら、「Skype」や「Windows Live Messenger」、「Google Talk」などのコンシューマー向けソリューションを選択する手もあるが、これが許されているかどうかは企業の情報ポリシーなどによって大きく変わる。

 最終的に、どのツールを選ぶかは、社内のシステムの組み方やポリシーによっても変わってくる。ただし、よほど重厚なセキュリティを組まない限り、Skypeなどのコンシューマー向けインスタントメッセンジャーの使用を完全に防ぐのは難しいだろう。

 社外の人とやり取りする場合にはGoogle Talkを使い、社内のやりとりには社内のサーバに用意したJabberサーバ(チャットサーバ)を使うといったシステムを組めば、社員は同じインスタントメッセンジャーのソフトを使って、社内と社外、どちらの人とも対話ができ、ログも管理しやすい。対話のシステムを用意したら、次はそこで話し合われた内容をいかに知識として残すか、という課題にも目を向けたいところだ。

主要コンシューマー向けIMソフトの機能比較
複数人数での
テキストチャット
音声
チャット
ビデオ
チャット
ファイル
転送
対応
プラット
フォーム
その他の
機能
Google
Talk
Google 1:1 × Jabber対応ソフト(Mac OS Xなど Gmailと統合、オフラインメッセージ受信
Skype Skype 1:1
〜1:10
1:1 Mac、Windows、Windows Mobile P2Pベース、電話との統合、オフラインメッセージ受信(P2P転送)
Windows
Live
Messenger
Microsoft 1:1 1:1 Mac、Windows、ブラウザ版、ドコモ携帯、au携帯 オフラインメッセージ受信

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