「llSitTarget()」は第10回でイスに座るときにも使った関数だ。通常、何かのオブジェクトに座るとき、そのオブジェクトの中心からどれくらい離れて座るか、またどんな向きで座るかをベクター形式のデータで指定する。
ちなみに「Offset」とは日本語で「差し引勘定、相殺する」というような意味で、そこから転じて、基準点から目的点までの差を表す。
どこに座るか
今回の場合、定義内の「offset」は、座りたいシート部分のオブジェクトの中心座標から、X、Y、Z方向にそれぞれ「何mずつずれて座る」か、ということを意味している。
「llSitTarget(<0.6, 0.05, 0.20>, ZERO_ROTATION);」となっているので、シートとして使われ、スクリプトが入っている楕円形のオブジェクトの中心座標からX方向に0.6m、Y方向に0.05m、Z方向に0.2mずれる位置に座ることになる。
ちなみに、下図はX方向に1.6mの値に設定した場合を示している。中央にあり、黄色枠に囲まれたシートのオブジェクトの中心座標から1.6m離れたところに座っている。

座る向き
さらに、座る向きを指定してみよう。今回は「ZERO_ROTATION」という組み込み定数(組み込み定数については第23回参照)が指定されている。日本語版LSL Wikiの「ローテーション」の説明によれば、「llSitTarget(<0.6, 0.05, 0.20>, ZERO_ROTATION);」は「llSitTarget(<0.6, 0.05, 0.20>, <0.0, 0.0, 0.0, 1.0>);」と同じとなる。

ここでの回転角度指定はラジアン(度数)指定となる(ラジアンについては第30回参照)。
右図は「llSitTarget(<0.6, 0.05, 0.20>,