企業がシステム投資を行うのは競争優位を確立するためでもある。そのために、これまでのシステム投資はERPやSCMなどの基幹系を中心に行われてきている。その一方で、情報系システム、特にコミュニケーション分野への投資はそれほど行われてきていない、というのが実情だ。
沖電気工業(OKI)の情報通信グループIPシステムカンパニーでプレジデントを務める坪井正志氏は、そうした状況から、「システムは手段でしかなく、結局は使う人の意識で効果は異なる」と競争優位確立のためのシステムには、意識の重要性を主張している。その坪井氏は、「人と人をつなぐコミュニケーションが、個々の情報システムの効果を最大限に引き上げる」として、企業はもっとコミュニケーション分野にシステム投資すべきと語っている。
そのコミュニケーション分野だが、これまでにIPネットワークインフラを構築するなど、それなりに投資されてきてはいるが、その実情について、坪井氏は「目的のメインは“コスト削減”」と分析する。
そのコミュニケーション分野において、現在主流となっているのが音声はもちろん、映像やデータも含むさまざまなコミュニケーション手段をIPネットワークに統合する“ユニファイドコミュニケーション”である。このユニファイドコミュニケーションは、「個人や組織の生産性向上と、取引先や一般消費者との関係を強化させる」(坪井氏)ものだ。
OKIでは、競争優位確立を目的としたコミュニケーションを確立することは、付加価値の高いコミュニケーションを確立することであるとして、ユニファイドコミュニケーションを推し進めていくことを明らかにしている。そうした方針を取る同社では、ユニファイドコミュニケーションについて同社独自のコンセプトとして「C3」を提唱している。C3は「Contact、Communication、Convergence」の頭文字を取ったものだ。
このC3を具現化するものとして、OKIは1月23日、大規模オフィス向けIPテレフォニーサーバ「IP CONVERGENCE Server SS9100 リリース8」(SS9100)と、中小規模向けIP-PBX「IPstage EX300 リリース5」とIPモバイルビジネスホン「IPstage MX/SX リリース5」の販売を開始している。
最大2万ポートまでサポートできるSS9100は、これまでにサンスターやサッポロビールなどの大企業に導入されているが、今回のリリース8では、VoIPの標準プロトコルであるSIP(Session Initiation Protocol)でのIPstageシリーズとの連携機能を搭載している。この機能によって、拠点ごとのシステム展開が可能になるという。