SaaS型統合業務アプリケーションを提供するネットスイートは12月9日、日本市場向けにローカライズされたERPスイート製品「NetSuite-Release J」を発表。同日より提供を開始した。
NetSuite-Release Jは、ERP、CRM、Eコマースの機能を統合したSaaS型アプリケーション。従来バージョンの日本語対応をさらに進め、日本の会計基準に準拠した財務諸表、手形支払い管理、消費税計算などに対応したほか、ユーザーインターフェースも日本のユーザーが利用しやすい形にローカライズされている。これは、NetSuiteの日本におけるパートナーであるミロク情報サービスおよびトランスコスモスとのパートナーシップにより実装されたものという。
発表にあたって来日した、米NetSuiteプレジデント兼CEOのZach Nelson氏は、IDCによる2007年から2012年におけるアプリケーション分野別のSaaS市場での成長率予測を引用。ERP分野が26.8%と、CRM分野の18.5%と比較しても突出し、バックエンド分野での成長が特に著しいと予測されている点を強調した。高い市場ニーズを背景に、ERPをコアにして、CRM、Eコマース、BIなどの機能を統合されたスイートとして提供するNetSuiteのアプローチは、コストを削減しつつ、コストの予測可能性を高め、運用管理の負荷を低減するものであるとした。
実例のひとつとして紹介されたのは、旭化成せんい米国子会社の事例だ。同社では、ERPシステムをSAPからNetSuiteへ移行することにより、売上に占める運用コストを従来の約3%から0.1%へ、システムユーザー数も従来の190ユーザーから、半数以下の75ユーザーへと削減することに成功したという。そのほか、コロムビアミュージックエンターテイメント(EコマースおよびCRM)、新潟に本社を置く駐車場管理会社の新総企、スイスに本社を置く電子機器メーカーであるセンシリオンの日本法人などが、NetSuiteの導入ユーザーとして紹介されている。
Nelson氏は、NetSuite-Release Jについて、従来の海外製SaaS型業務アプリケーションと比較し「日本市場に完全対応し、これほどまでにパワフルなアプリケーションはなかった」と述べ、同社の日本市場に対する強いコミットメントを強調した。
NetSuite-Release Jの価格は、基本契約料が6万円/月、1ユーザー当たり1万3000円/月。多国籍企業向け製品である「NetSuite OneWorld」の一部としても利用できる。