日立製作所は3月10日、統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」のブレードサーバに新ハイエンドモデル「BS2000」を追加、機能を強化した小型集積モデル「BS320」を4月1日から販売開始することを発表した。
新たに加わったハイエンドのBS2000は、日立が独自に開発したサーバ仮想化機構「Virtage」(バタージュ)で従来機と比べて約2倍の“仮想サーバ集約率”を実現している(仮想サーバ集約率とは、物理サーバ上に集約できる仮想サーバの数を指す)。現行ハイエンドの「BS1000」と比べて、メモリ容量は4倍、I/O性能では7倍となっている。
またBS2000は、AC/DC変換効率が従来よりも7%向上して92%となっている。これにより、BS2000は、The Electric Power Research Institute(EPRI)が作成した「80 PLUSプログラム」に基づいて電源効率が80%以上の基準を満たすと認定された製品に与えられる認証「80 PLUS」の最高ランクである「80 PLUS GOLD」を取得している。
一方のBS320は「HDD拡張サーバブレード」や「PCI拡張サーバブレード」を搭載している。HDD拡張サーバブレードは、外部ストレージやLANスイッチ、アダプタを追加せずに最大6台までのHDDを導入できるというもの。PCI拡張サーバブレードは、ネットワークポート数を簡単に拡張できるようになっている。これにより、単一のシャーシでファイル・バックアップサーバなど部門システムの統合まで対応できるようになっている。
従来バックアップ装置と接続するためには、外部のバックアップサーバを経由する必要があったが、HDD拡張サーバブレードがバックアップ装置と直結することで、BS320にバックアップサーバを統合することができる。HDD拡張サーバブレードとPCI拡張サーバブレードは、2009年度第2四半期(7〜9月)から販売開始予定となっている。
またBS320は、従来モデルの1.5倍となる最大メモリ容量を48Gバイトまで搭載できる。統合システム運用管理ソフト群「JP1」シリーズのうちの「JP1/Performance Management」と連携することで、仮想化環境の稼働状況にあった物理リソースの最適な配分ができるようになっている。加えて、「JP1/ServerConductor/Blade Server Manager」で物理サーバと「Windows Server 2008」の仮想化機構「Hyper-V」や仮想化ソフト「VMware」上の仮想化サーバの一元管理が可能になっている。
同社では今回、現行のハイエンドであるBS1000のIPF(Intel Itanium Processor Family)サーバブレードでだけ提供してきた、7年間にわたってハードウェアを長期保証するロングライフサポートサービスをインテル Xeonプロセッサーを搭載したブレードにも適用、提供を開始することを発表している。
システムの本番運用期間を確保、保守サービスの期限切れでシステム停止・更改作業を低減できるとしている。ハードウェアの入れ替えに伴う導入・構築費用を年平均最大5%削減でき、システムのライフサイクル全体でのトータルコスト削減に貢献できるとしている。
ラインアップに新しく追加されたBS2000と機能強化されたBS320には、プロセッサの利用状況に応じて周波数を制御して、ブレードの消費電力を最適化するパワーキャッピング機能を提供する。これによって、ブレードの消費電力を約16%削減できるという。また、シャーシの電力供給や消費量を可視化表示できる電力モニタリング機能を搭載することで、機器増設や設備導入時の計画、設備有効活用のための設備設計が可能になり、設備投資コストを削減を支援できるとしている。
BS2000の価格は273万9000円から、機能強化されたBS320は91万6965円からとなっている。