Oracle CRM担当者が語るSalesforce.comに対する「圧倒的優位性」 - (page 2)

谷川耕一

2009-04-24 22:31

まだまだCRMの市場は拡大する

 ライ氏によると、CRM市場は世界で現状80億ドル規模であり、これが今後も継続すると予測できる。企業は1人1人の顧客との関係をよりよくすることに注目しており、顧客はCRMをSFA(Sales Force Automation)という限られた分野だけでなく、戦略的に幅広く捉えるようになってきているという。

 さまざまなCRMの分野の中で、最近ではフィールドサービスやコールセンター、ヘルプデスクなども注目されている。また、SFAだけを見ても、当初は営業担当者が情報を入力し、マネージャーが現場を管理することに主眼を置いて使われていた。しかし、これだけでは営業担当者にはメリットが生まれないため、現場の利用はなかなか活性化しなかった。

 しかしながら、蓄積される情報を適宜公開し、いまではマネージャーとユーザーの利用が一体化するようになっており、マネージャにも営業担当者にも、双方ともににメリットのある環境に変化しつつあるという。こういった点をとっても、CRMの利用はさらに拡大する傾向にあるのだそうだ。

Oracle ExadataがCRMの世界に与える影響

 また、Oracle Exadataのようなインフラの革新は、CRMの世界にも影響を与えているという。莫大な情報を意思決定に反映できるOracle Exadataは、大きなチャンスを顧客に与えるものだと言う。

 Oracleでは、BIやデータウェアハウスをCRMの世界と統合することに長い年月をかけ投資してきた。これらの世界を統合することで、他のベンダーのサービスにはない新たな価値が生まれるのだとライ氏は言う。

 総合ベンダーとして、アプリケーション、データベース、インフラと、すべての領域で技術的な優位性を持っているということも、Oracleの大きなアドバンテージだと語っている。

CRMは公共、政府機関にビッグチャンスがある

 CRMの世界は景気が低迷しているような状況でも成長が期待される分野である。ライ氏が多くのCIOに話を聞いても、CRMはもっとも重要な投資分野だという答えが返ってくるのが現状だそうだ。

 不況だからこそ新しい顧客を獲得し、獲得した顧客を維持しなければならない。市場に出回る製品は汎用化する方向にあるので、むしろ顧客とのリレーションシップを高めることが、今後の企業間競争では重要な要素になるだろうと、ライ氏は述べている。

 今後、CRMで期待できる市場としては、公共や政府機関が挙げられるとライ氏は言う。この領域にはビックチャンスがあるという。

 公共機関はどんどん市民中心のサービスを展開するようになっており、よりよいサービスを提供しようと工夫している。これはまさにCRMソリューションの範疇だ。

 公共の安全や社会福祉の分野は、CRMの大きなチャンスのひとつだと言う。実際、すでにこの分野には資金も投入されつつあり、イギリスでは年金課の業務にCRMが採用されている。6万人のユーザーがOracleのCRMのソリューションを利用しているとのことだ。すでに、カナダやメキシコなどでも同様の事例が出てきているという。

 日本では、まだまだ公共や政府機関ではメインフレームなどのレガシーな仕組みを使っている例が多いのだとライ氏に告げると、「レガシーのアプリケーションを利用しているがための費用の増大を真剣に考えるべきだ」とアドバイスが返ってきた。

 日本においても、公共や政府機関において市民中心的な発想をするならば、今後CRMの大きな市場がそこにあることは確かであろう。

コラボレーション取り込みCRMの世界は大きく変化する

 今後のCRMの方向性を訊ねると、コラボレーションの概念がどんどん入ってくるだろうとライ氏は言う。Web 2.0的なソーシャルメディアやソーシャルメタデータを活用し、全く異なるリレーションシップを顧客との間に作り出すことができるようになる。

 現状のCRMは企業が顧客との関係を築く過程を管理しているが、今後はCRMを使って顧客同士の関係やカスタマー間で行われるコミュニケーションの部分まで管理して、ビジネスに生かせるようにしなければならないとのこと。

 「今後は顧客とのリレーションシップの基礎的な考え方が変わってくるであろう。それに合わせて、Oracleが提供するアプリケーションも進化することなる」――ライ氏はCRMのアプリケーションの世界が大きく変わってくる可能性を示唆している。

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